貴女と歩むこの道を…2【山田二郎】 (ページ4)

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五十二歩目ページ4

Noside

「記憶が…戻るってことっすか？」

「はい。ですがまだ初期段階なので完全に戻るかはまだ分かりません。このまま経過観察をしていきます」

記憶の戻り始めという言葉に希望を持ち始めた二郎

まだ定かではないが記憶が戻ってくるのだ

二郎はAのそばに行き、彼女の小さな手をそっと握る

「Aちゃん…」

「大丈夫ですよ。しばらくすれば目覚めますから」

「あのっ！俺、今日ここに泊まってもいいすか？」

二郎の突然の発言に目を見開く医師と看護師

いくら面会者とは言え、付き添って泊まることはできない

だが今回ばかりはと医師の了承を得て宿泊が可能となった

「分かりました。一日だけですがよろしいですか？」

「はい、ありがとうございます」

医師と看護師が病室を出ていく

二郎は買ってきたチーズケーキを冷蔵庫にしまい、花を花瓶にさす

その後ポケットからスマホを取り出し、一郎に連絡を入れる

「もしもし兄ちゃん？俺今日病院に泊まるんだけどいい？」

《病院？何かあったのか》

「いや、その…友達が入院してるから付き添いたくて…」

《そうか、わかった良いぜ。明日には帰ってこいよ》

「うん！ありがとう兄ちゃん」

電話を切るとパイプ椅子に座り再びAの手を握った