四十六歩目 ページ48
Noside
医者の言葉に三人は複雑な気分であった
今まで通りAと同じ学校に通えるのはいいことなのだが彼女は記憶をなくしているため、思い出すということは困難である以上対人関係を一からやり直さなければならない
鶴と調と紡いできた絆、二郎への恋心でさえも消えてなくなってしまっているのだから
「失礼します」
沈黙を破るかのように誰かが病室のドアを開けた
ドアの方を見れば担任が立っていた
「三人とも、今すぐ旅館に戻って荷物をまとめてください」
「え？今なんて…」
「それはどういうことっすか？」
「まさか中止…とかでしょうか？」
「そうです。こんな状態で修学旅行を続けることはできません。ですから東京へ帰ります。電車は手配してありますし、親御さんには学校側からメールでお伝えしました。」
三人の焦った様子に動じることなく担任は冷静に伝える
「じゃあAはどうなるの！？」
三人が医者の方を向けば担任と目配せをしまっすぐ見つめて話し出す
「Aさんはシンジュク中央病院へ転院となります。先程Aさんのお父様と電話でお話をしたのですが、シンジュク中央病院に親戚が勤めているとのことで転院先がそちらになりました。」
「そういうことなので帰りますよ」
担任が急かすように言うと二郎たちはそっとAの手を握った
「A、またね。私達はずっとにAのこと思ってるよ」
「ゆっくりでいいですからまた一緒に思い出を作りましょう」
「Aちゃん…俺はどんなAちゃんでも好き、その気持ちだけは絶対変わらない。だから、もう一度Aちゃんを振り向かせてみせる。それまで待ってて」
三人は思い思いの言葉を紡ぐと病室を後にした
廊下を歩いていると鶴が落ち込んだ場を紛らわそうと声をかけた
「二郎くんイケメンじゃん！“もう一度Aを振り向かせてみせる”なんてさ」
「なっ！」
「ふふっ、素敵でしたよ。あそこまで言える方はそうそういないでしょうから」
「さすが山田くん、学校1モテる男ね」
「思い出せば俺、すげぇ恥ずいことしたわ。あーホントにやばい」
二郎は顔を真っ赤にして目を泳がせる
旅館までの帰り道、四人はAの小さい頃の話や良いところなどを話しながら歩いていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
女王(プロフ) - カミサマさん» 応援ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも頑張って更新を続けます！ (2021年6月21日 20時) (
レス) id: c75b1bd3e5 (このIDを非表示/違反報告)
カミサマ(プロフ) - 面白いです！続き楽しみにしています！ (2021年6月21日 20時) (レス) id: 18de018685 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クーカー | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/p/mmyu671
作成日時：2021年5月5日 16時
