Ｓと偽善者と悪魔が命について考える話

偽りについて ページ5

『最近仲間との仲を守るために自分を偽る人が多いです。それは、死と等しく辛い事らしいです。どう思いますか？』

久しぶりだ。この感じ…。四日前にもこの人達の前で虐めについて聞いた。
…私が、生きるために。

悪 「自分を見失う輩は最近増えとるのぉ。｣

Ｓ 「……そうだね。｣

偽 「俺も、自分を優しい人と思わせる為に偽ってるよ。｣

偽善者が少し俯きながらそう言った。前回は途中で分厚い面の皮を捨てて話していたが、今回は最初から素で話すらしい。
コイツの事が嫌いなので少し寒気がした。

偽 「いつの間にか偽ってないと人と話せなくなっちゃった。どれが本当の自分なんだろうって。｣

悪 「ワシらの前では結構キツイ事を言っとったぞ？｣

偽 「あれが、本当か。と聞かれたらそうじゃないんだよ。｣

あれも作ったキャラだったのならやめてほしい。まるで快楽殺人鬼みたいだった。

Ｓ 「俺も…無理にサイコパスを演じてる。昔、虐めて死んだ奴居たって言っただろ。…そこで、皆から思われたイメージに成り切る様になった。｣

悪 「その人以外を傷付かせない様に、怖い所を持つ自分に近付かせない為に…か？｣

悪魔が諭すようにそう聞く。サイコパスはゆっくり頷いて目元を拭った。…サイコパス…。お前、実はそんなにサイコパスじゃ無いのか…？

悪 「御主は強いよ。…人の為と書いて偽りじゃからな。本当の自分を犠牲にして、人を守ろうとしたんじゃ。｣

サイコパスがまた目元を拭う。私も少し泣きそうになった。

人の為…か。


『偽りについて、終了です。…ありがとうございました。』


〜偽りfin〜

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