【あんスタ】冗談抜きで好き【羽風薫】 (ページ1)

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嘘から出た真ページ1

4月1日。
俗に言うエイプリルフール。
予鈴がなる5分前、君は教室に入ってくる。

「ひゃかぜ殿、おはよう」
「おはようA、1つ提案があるんだけど」
「ん？何の提案なのだ……？」
「あのさぁ、一緒に暮らさない？」
「ふむ……」
「俺もそろそろ家出たいし、Aも出たいって言ってたでしょ？」
それに俺、もっと君のことも知りたいし。
そう言って頭を撫でたら、君は微笑んだ。
「桔梗もひゃかぜ殿のことを知りたいのでな。
一緒に暮らそうぞ、ひゃかぜ殿」

嘘から出た真。
俺達はその日の放課後から、いろいろと話し合って。
時間はかかったけど、師も走る12月に俺達は物件を見つけた。
ああ、本当に一緒に暮らすんだなぁなんて思った。

「Aは親のサイン貰ってこれる？俺は確実に貰えるけど」
「その心配は杞憂でござるぞ、ひゃかぜ殿。
桔梗、縁を切られそうになったのでな」
「それはまた……何かあったの？」
「両親がひゃかぜ殿と御付き合いしていると勘違いしていてな……」
「あー……なんかごめんね？」
「なに、ひゃかぜ殿が謝ることではないのでな。
桔梗がちゃんと説明できなかっただけでござる」

御付き合い。
それは桔梗Aの家では禁止らしいと聞いたことがある。
でも俺だってそんな危険をおかしてまでの御付き合いなんてしたくない。
だから、気持ちは一切伝えていない。
たぶらかすような言葉も、この子には禁句。
それが功を成して、信頼し合う関係にもなれたし、
持ちつ持たれつの関係だと正直なところ思っている。

「ねぇA、それ、同棲人が俺だって知られたら」
「縁は切られてしまうな。
……それでも、桔梗はひゃかぜ殿と一緒にいたいのだ」
駄目か？と問う視線に、俺は何も言えなくて。
黙りこくっていたら、君が口を開いた。
「……ひゃかぜ殿、申し訳ないが1つ頼み事があるのだ。
嫌なら断ってくれて構わない。」
「ん？何？」
「その……非常に申し上げにくいのだが、婚約者になってくれないだろうか？」
婚約者。
ぱちん、とAと目が合う。
「御付き合いも無く何を、と言われるかもしれんが……
もうひゃかぜ殿も18の齢、親の同意だけあれば結婚も出来る…はず、なのでな」
それに、婚約者となると縁も切れまい。
そう言ってすまない、と謝る君を抱きしめる。

「本当に婚約だってしていいんだけどね」

だって本気で愛してるから。
呟いた言葉は、風にさらわれて消えていった。