クリスマス･イヴ�� ページ44
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『クリスマス･イヴは俺の家でクリスマスパーティーするからお前ら絶ッ対に来いよ！！ 特に傑とA！！』
突然、スマホが通知音を知らせたかと思えば、それは五条からの物で。メッセージに引き続き、ピコンピコンとスタンプの押された音がして、ああきっとこれは此方の意見など微塵も通らないのだろうと、小さくため息を付いてスマホをポケットにしまった。
グループ名『高専関係者』と面白さの欠片もない、けれど的確ではあるトークグループの名前。付けたのも作ったのも勿論あの五条。皆で食事に行きたい時はこのグループトークを使うようにしているらしいが、まさか私と傑が名指しされるとは。
しかもクリスマスではなくて何故、クリスマス･イヴ。
日付感覚がズレているせいか、クリスマス･イヴが近いことすら忘れていた。
私が既読を付けないうちに再び鳴るスマホ。五条から催促の物かと思えば、送られてきたメッセージを二度見する。
『悟に先を越されてしまったから、イヴの午前中は私とデートしないかい？』
*
*
傑はデートのお誘いをしたその時、又は遅くてもデート2日前位には行先を教えてくれるのだが、何故か今回はそういった連絡は無く、ただ『キミが迷子になるといけないから駅まで迎えに行くよ』と言った過保護な一言だけだった。
｢流石に当日だし、行き先は教えてくれるんでしょう？｣
｢勿論。原宿だよ｣
原宿は未だ降り立ったことの無い駅の一つだ。美味しいお店やオシャレなお店でも見つけたの？ と、傑に尋ねればゆるりと首を横に振られる。
｢食べ歩き……Aはしたことあるかな｣
｢夏祭りで位かな｣
とは言っても、私は人混みが苦手だからお祭り開始して早々にリタイアして家に帰ってしまう人間だと言うことを忘れていた。それでも今日は傑が隣に居てくれるし、きっと大丈夫だ。
『原宿』というアナウンスと共に押し出される形で改札を潜れば既に周囲は人、人、人。景色だけで既に目眩がする。
｢…………ねえ傑。どうして原宿の竹下通りで食べ歩きなのか、聞いてもいい？｣
教えて貰えなかった事に腹立たしさを感じているわけではなくて、単純な疑問だった。いつもおはようからおやすみまでの細やかなデートプランを練る傑にしては、随分と大胆な流れだから。
すると傑は『知りたい？』ヒソヒソ話をするみたいに耳許で尋ねる。距離の近さにドギマギしながらも頷けば、赤信号が切り替わる。
｢＿＿昔。キミと約束したからだよA｣
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作者名：愛 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/dear_utsuk?utm_medium=url_text&utm_source=pro...
作成日時：2023年10月4日 16時
