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Aside
「みんな、グラス持った〜?
じゃあいくよ、ура〜!!」
「か、カンパーイ!」
飾られた勝生家の一室__勇利の部屋で、ご馳走と共に4人で開かれたユリオの送別会。
ヴィクトルの一声の後、賑やかに開催された。
「ほら〜、ユリオも飲んで飲んで!ユリオの送別会なんだから楽しまなきゃ!」
「未成年に酒勧めんなヴィクトル!お、俺は別に頼んでねぇしカツ丼食べに渋々っつーか…」
「ね、ねぇヴィクトル……僕のカツ丼は?」
「ん?」
「す、すみません…」
送別会と言っても、ただ食べて、大人は飲んで、喋るだけ。何か特別なことはしない。ヴィクトル曰く、「またすぐに会えるから」。
「(私は、分からないんだよね…)」
こんな異例な出来事がなければ、多分私とユリオはまだ出会ってなかった。しかも私は今シーズンで世界に出れるか決まったわけじゃない。
ヴィクトル・ニキフォロフという最強の男が味方についた勇利は、きっとグランプリシリーズにも出るだろう。
でも、私は?とりあえずまずは日本一を目指して、シード権がないから地方大会に出なくてはいけない。そして、コーチ。フリーの曲。アサイン。やらなければいけないことがたくさんある。
そうしないと、私はユリオに会えない、いや会ってくれないかもしれない。
せっかくあのユーリ・プリセツキーに指導してもらったんだから、活かさなくちゃ。
「(そして、ユリオのアガペー、一番近くで見たい)」
テレビ越しでもなく、観客席でもなく、もっと近くで。
それから送別会という名の宴会は、飲みすぎた大人たちのダンスバトルや、勝生ママから取り寄せた勇利と私の写るアルバムを見たりなど、終始賑やかに進んだ。
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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時