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ユリオside
「すごい!すごかったよユリオ〜!」
笑顔で拍手するこの女。子供扱いされるのはなんだかいけ好かなくて、俺はそっぽを向いた。
「(あんだけカツ丼の演技に惚れてるくせに……なんで嬉しそうなんだよ)」
俺が声をかけても、聞こえなかったくらい。
「ユリオも前より良くなったね。じゃ、最後はAだ」
「私、2人に比べたらまだまだで……」
「Aは曲もらって6日しか経ってないから無理ないよ。さぁ行っておいで」
ヴィクトルに促されて、リンクへ立つ。
愛について、ストルゲー。
俺や勇利とアレンジ違い。エ ロスとアガペーは対照的だが、アガペーとストルゲーは雰囲気が似ている、穏やかで優しい曲だ。
スピンとステップのテクニカルコンポーネンツでもなんとか低難度でレベル3までもってきた。
まだ完成はしてない、けれどだいぶ形になってきた。
表情も、この前よりも柔らかい。まだまだ改善の余地はあるけど。
「(ジャンプは言わずもがな、だけどな…)」
女子が4回転を跳ぶのがどうとかじゃなくて、姿勢や、回転速度、着地のなめらかさ。
たとえ難しいジャンプが出来なかったとしても、俺はこのジャンプに惹かれていただろう。
だからこそ、見たいんだ。
こいつが、世界の舞台で、華々しく堂々と演技する姿を。
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作者名:萌菜 | 作成日時:2016年12月9日 17時