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「…いや、何にもないよ?俺」
緩く笑う紫耀。
逆に怪しいんやってそれが。
俺の知ってる紫耀はこんな笑い方せん。
どっか上の空って感じの。
メンバーも黙って紫耀を見つめる。
何か言ってしまったら、この場の雰囲気を壊しそうで。
「言いたくないんだったら言わなくていいと思うよ、俺」
沈黙を破って、岸くんが真っ直ぐに言う。
「でも、言ってくれたら俺らも紫耀のこと支えられると思うしさ、な、廉?」
俺は黙って頷いた。
はっきり言って、今の紫耀は見てられんから。
放っておいたらどっかに行ってしまいそうなほど儚い。
テレビに多く出てて、かなりの重圧を背負ってるであろう紫耀。
紫耀に救われたこともめっちゃあった。
だから今度は俺らが助けてやりたい、
なんて俺らしくもないな。
でも、今の紫耀には話を聞く人が必要な気がするんや。
「みんなさ、心配しすぎだから。俺はなんにも、なんにもないって…」
調子をごまかすみたいなヘラヘラした笑み。
何度も、なんにもないを繰り返す。
「…なんにも、ないって…」
紫耀の頬を、一筋の涙が伝った。
「言えると、思う?」
「ずっと好きだったから、告白した。でも"住む世界が違う"って言われて、断られた」
「俺のこと、アイドルとしてじゃない一人の人間として見てくれてるって思ってたけど違った。すごいショックなんだよ、俺」
「そんな早く立ち直れないよ」
言葉が出んかった。
話せって言ったのは俺ら、でもいざ聞いてみれば何も言えん。
ほんとに、あの水沢さんがそれを言ったん?
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舞(プロフ) - 友梨さん» 初めまして、コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです…!まだお話は続きますので、ぜひ楽しみに読んでいただけるとありがたいです。 (2020年10月18日 0時) (レス) id: 9c2773f025 (このIDを非表示/違反報告)
友梨(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく拝読させて頂いてます!舞さんの作品とても面白くて何度も読み返してます!いつも応援しています!頑張ってください!!! (2020年10月17日 18時) (レス) id: 5a310d6604 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - じくねこさん» またコメントありがとうございます!嬉しいです!これからも楽しんで読んでいただけるように頑張りますね…! (2020年9月12日 1時) (レス) id: 9c2773f025 (このIDを非表示/違反報告)
じくねこ - 更新ありがとございます続き楽しみ (2020年9月11日 23時) (レス) id: 1083519e52 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - じくねこさん» こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!作者のモチベーションアップに繋がります( ;∀;)今日も更新するのでぜひ楽しみにしていてください…! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 9c2773f025 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞 | 作成日時:2020年8月23日 10時