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「本当に違うから…どうしてそう思ったのかも不思議だけど…」
美波ちゃんは少し笑った。
「そう思うくらい仲が良かったってことです」
「それに、同じことを思ってるのは多分私だけじゃないんじゃないかなぁ」
え。
結局どんな顔をしていいかさっぱり分からなかった。
____
「水ちゃんどーしたの、なんか疲れてるけど」
休憩しているとやってきた平野っち。
撮影で疲れない日などありません。
「…うん、ちょっとね」
あなたと付き合ってるって勘違いされました、とか絶対言えない。
けれどもこの人はそれを簡単にぶち壊してしまう。
「俺と水ちゃん付き合ってるって思われたんでしょ？監督さん言ってたよ。俺そうですって答えた」
「は？」
思いきり背中を起こしてしまって痛めた。
「待ってなんでそんなこと言ったの」
事実と反することですよそれ？
やばいよ平野っち有名人だから業界の人に嘘が知れ渡ってしまう。
「何となくかな」
のんびりしてる彼だけど、私は全くもって気分が休まらない。
むしろ余計悪くなった気もする。
「なんて弁解すればいいのよこれ」
人が真剣に悩んでいるというのに
「本当にしちゃえばいいじゃん」
真顔でそんなことを言い放つ。
本当にしちゃえばって、
「…実際に付き合うってこと？」
「そうそう」
何のためによ。
「ダメに決まってんじゃんか、冗談にならないよそれ」
良くも悪くも考えが独特なんだよ…
「…な…どな」
平野っちがぼそっと何かを呟いたのは分かったけど、何と言ったかまでは分からなかった。
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作者名：舞 x他1人 | 作成日時：2020年8月11日 0時
