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「平野っち、」

「誰でも不安になるよきっと」

「でも、人には退けない時があるからさ」

私自身が通ると決めた道だ。
途中で諦めることはできない。

「辛かったら私を頼って」

「誰かに言わないと苦しみって解消されないんだよ」

彼は静かに目を見開いた。

それから緩く微笑みを浮かべる。

「ほんと、水ちゃんって…」

その後を彼が続けることはなかった。

「何言おうとしたの」

そう聞いても、

「…んー、秘密」

かわされるばかり。

いつかまた聞けるかな、なんて。

「強くて優しいって、」

「水ちゃんのことみたいだよね」

本当にそうだったらよかったのにね。

「そんなできた人間じゃないよ、私」

平野っちは首を振る。

「俺のこと助けてくれたじゃん今」

「仲間でしょ、同じ場所で戦ってる」

「だから助けたいって思うんだよ。私が強いわけじゃない」

彼は、何かが違う気がしたから。





.





“何かが違う”

その思いが、後に自分のことも彼のことも傷つけることになるなんて

この時の私は夢にも思っていなかった。

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作者名: x他1人 | 作成日時:2020年8月11日 0時

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