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「水沢Aさんクランクインされます!」

今日から本格的に撮影開始。
他のキャストさんたちとの中で冷をどんな風に演じるか、これから色々工夫するところ。

「水ちゃんおはよ」

すぐに平野っちが駆け寄ってきた。

「おはよ、今日から撮影頑張ろうね」

そう返すと、犬みたいにぶんぶん頷く。
あれ、本当に同い年だっけ、?

__________

最初に撮影するのは、教室で冷が読書をしているシーン。

周りに友達はいない。話しかける人もいない。
ただそこにいるだけ。

ここで冷の独白が入る。

『友達って何だろう』
『みんな嘘をつき、偽物の笑顔を浮かべる』
『ここには、本物の友情など存在しない』

冷はその名の通り冷たい性格だ。
常に無表情でいなければならない。

読書をしていると、冷はしおりを落とす。
そのしおりを拾うのがクラスメートの住友彰、つまり平野っちだ。

「宮永さんこれ落としたよ?」

冷は「ありがとう」とは言うけれど住友彰に見向きもしない。
でも住友彰はそれを気にする様子もない。

「宮永さんって冷たいよね、なんで周りに優しくしないの?」

ニコニコ笑顔のままでそんなことを聞くのだ。

平野っちがそれをやるとサイコパスに見えて怖。

冷はずっと気にしていたことを指摘されて思わず強い口調で言い返してしまう。

「あなたには関係ない。何も知らないのに口出ししないで」

『カット!』

『水沢ちゃん、もっと平野くんを睨んで。威嚇する動物をイメージしてやってみて』

威嚇する動物?

もう一度やってみるが、監督さんのイメージとは違うらしい。
難しい顔をしている。

「水ちゃん、俺を水ちゃんの嫌いな人だと思ってやってみて?」

平野っちに声をかけられた。

嫌いな人ねえ。

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作者名: x他1人 | 作成日時:2020年8月11日 0時

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