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…私は彼らじゃないから、分からない。
でも、誰かの求める自分であり続けることがどれほど難しいかは容易に想像がつく。
「…ずっと大変な思いしてきてたんだね」
大変なんて言葉では済まないだろうけど、
「この仕事が好きだから、ずっと耐えられてる」
そう言って笑った平野っちは、なんだかとても儚かった。
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スタッフさんたちに挨拶してから部屋を後にした。
『水ちゃんばいばい!』
平野っちは一足先に帰った、どうやら新曲の練習があるらしくて。
当然といっちゃ当然かもしれないけど、映画の主題歌はキンプリが担当する。
バラード系の曲だって平野っちは言ってた。
「A、送るわ」
ドアのすぐ前に酒井さんが立っていた。
家まで送ってくれるらしい。
「とても素敵な映画ね、台本合わせから面白かったわ」
歩きながら感心したように言う酒井さん。
私もすごく面白い映画だと思う。
それぞれの俳優さんの演技が光るし、最近では珍しいシリアスな色調だし。
「…上手く演じられるように頑張ります」
どの映画でもそうだけど、主人公役が下手だったら話になんないからね。
特に“氷に、隠す”は主人公がキーマンだし。
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作者名:舞 x他1人 | 作成日時:2020年8月11日 0時