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ガチャ、と年季の入った扉を開けた。1番に目に入るのはもちろん、ソルトさん。
｢あ…Aくん。おかえり……やっぱ、あいつ帰ってこなかったか？｣
『あの…それが……』
俺を見ると少し切なげな顔をして、ソルトさんは目を伏せた。そのソルトさんの顔にほんとに、少しだけヒョン達を思い出してなんとも言えない寂寥感に駆られた。
後ろにいるユンギヒョンの手を強くぎゅっと握るとユンギヒョンも何かを伝えたいのか、強くてを握り返してくれる。
俺が隣に、ソルトさんにユンギヒョンの姿が見えるように避けると、ソルトさんは目がこぼれ落ちそうになるくらい大きく見張った。
｢っ…Sugar！｣
ソルトさんは声を喉から絞り出したかのように言葉をつまらせながらもゆっくりとユンギヒョンに近付いた。
俺はここから退出しようと一歩後ろに下がるとユンギヒョンは手を離さまいと強くつよく握る。よく見ると、ユンギヒョンの手はぷるぷると子鹿のように震えていた。恐らく緊張しているのだろう。でも、ソルトさんもそれは一緒だった。
｢…久しぶりだな、salt。いや、"ジニョン"｣
『え、…偽名なんですか！？』
｢はっ、やんちゃなことばかりしてんじゃねぇよ。ユンギ｣
ソルトさん、いや、ジニョンさんはユンギさんと強く抱擁し合った。お互い涙をこぼれ落としながら、あの空白期間を埋めるように。
俺は2人には何も声をかけてやれなかったけど、ユンギヒョンが幸せならそれでいいと思った。そう思ったけど、でもやっぱり自分だけ置いていかれたような、侘しさも心のどこかで感じていたのかもしれない。
『そういえば、ジニョンって名前、どこかで聞いたことある気がするんですけど…』
｢何言ってんだよ。お前会ったことあるだろ、ジニョンに｣
『えぇ…？いやでも今見ればめちゃくちゃイケメンだな』
｢ばか。当たり前だろ、GOT7のメンバーなんだから｣
｢ふふっ、ごめんね。一応変装？としてキャラも変えてたんだ。だから分からなかったでしょ？｣
『いやいや、えぇーー！！ジニョンさん！？なんで？いや、マジでわからなかったです、すみません！！でもなんでここにいるんですか？』
｢落ち着けよ｣
『落ち着ける訳ないじゃん！こんな変な世界にやってきてようやく会えた普通の人がまさかのジニョンさんだったんだよ！？』
｢面白いことを言うんだね、ジュハは｣
そう言って笑うジニョンさんの顔は今までの世界の時と同じくらい素敵な顔だった。
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作者名：ピーナッツバター | 作成日時：2022年3月28日 0時
