明 ページ29
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｢お前、彼って言わなかったか？｣
ハニがそう俺に聞いた。
本当は隠し通すつもりだったけれど、いつかバレる時もくるか。
そう思ってしっかりと頷いた。
すると、ミンギュとジュンフィは何故か気まずそうに目を逸らし、ハニは一層目を鋭くさせた。
｢お前、もしかして男を好きになったのか？｣
『そうだよ。素敵な男の子。ジュンフィと同い年だ』
開き直るかのようにしっかりと話す。ここで弱々しくしてたってメンバーに理解なんかしてもらえない。
理解してもらいたきゃ、挫けず真っ直ぐと思いをぶつけるんだ。
｢ほんと？｣
『うん。小柄で可愛らしいんだ』
可愛さを伝えるために写真を見せようと思って、ポケットにある携帯を触ったが、思わず手が止まった。
ここで見せていいのかな。例え、男の子だろうと今いるメンバーがする好きになったらどうしよう。
不安な気持ちが俺の中でぐるぐると混ざり合う。
｢ヒョン…？｣
『…ちょっと待ってね今見せるから』
覚悟を決めて、彼との写真の中から一番いいものを選ぶ。
ちょっとした牽制を込めて、一見カップルのような良い写真を見つける。
『…ほら、可愛いでしょ？』
携帯をハニ側に向け、見せると全員立ち上がって携帯を覗き込んだ。
｢へえ、確かに愛嬌のある子だね｣
｢え！何この子！可愛い！女の子ですか？｣
｢男ってさっき言ったばっかりじゃん。ばか｣
｢可愛いね〜俺が今まで会ってきた男の中で一番可愛いかも｣
Aくんの写真を見て、俺の牽制も気づかずベタ褒めする3人。
ミンギュに関してはもう口角緩々で初恋の人に出会ったみたいな反応してる。
ミンギュはこういう落ち着いてて、優しい雰囲気を纏った顔の人がタイプだもんね。
やっぱり失敗だったかも、と心の中で少し焦りが出てきた。
そんな俺を見て、ハニは鼻で笑う。
｢えっ、なに？もしかして俺らがこの子のこと好きになるかもしれないとか考えてる？｣
『…いや…』
｢大丈夫ですってば、確かにタイプの顔ですけど好きにはなりませんよ…多分｣
｢ミンギュ、その言葉が1番シュアにとって不安になるからやめろ｣
｢うーん…性別は別にどうでもいいけど、俺も流石にこれで一目惚れはしないかなー｣
｢そうだ！俺はそれが言いたかった！｣
｢アイドルなんだし、俺らもそう簡単に一目惚れなんかしないよ。そんな事してたら今頃カラットは居ないさ｣
励ましになってない励ましに俺は少し不安だったけれど、ハニ達のことを信じてみようかな。
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作者名：ピーナッツバター | 作成日時：2021年8月2日 2時
