怒-▽ ページ28
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｢嘘。絶対なんかある。じゃあなんで一昨日は帰ってこなかったのさ。どこに行ってたの？｣
｢友達のとこ｣
｢違うでしょ？シュアが急に飛び出して、友達のところに行くとは思えない。しかも俺らの電話を無視してまで。だったら言えばよかったじゃん。友達との約束があるからって。ねぇ、シュア。本当のこと話せよ。いつまで嘘をついてカラットに良い顔をしていくつもりだよ｣
口調からハニヒョンが中々話そうとしないジスヒョンに少しキレてることがわかる。
それでも俺とミンギュは黙ってジスヒョンの返答を待った。
2人が喧嘩とかじゃなくて、俺らはただ単にジスヒョンのことについて知りたかった。
ジスヒョンが何を隠していて、何を知ってるのか。
｢…友達が事故っただけ｣
｢違う。友達じゃないんだろ？事故ったのはあってるかもしれないけど、友達じゃなくて他の人が事故ったんだろ？｣
｢………｣
ハニヒョンの問いにふいに顔を逸らしたジスヒョン。
それと同時に、何かを思い出した様子のミンギュ。
｢そういえば一昨日、好きな人が交通事故にあったって｣
『え？』
俺にだけ聞こえるような声のボリュームでそうボソッとミンギュが呟いた。
ジスヒョンも話し出す。
｢あぁー…あの子のこと知られたくなかったのになぁ｣
頭を強く掻いた後、ハニヒョンの腕を掴んでダイニングチェアに座らせたジスヒョン。コーヒーカップを机の上に置き、座る。俺らも慌ててダイニングチェアに座った。
｢実は俺に好きな人が出来た｣
｢…え？｣
突然のカミングアウトに俺とハニヒョンは混乱。
ジスヒョンはお構い無しに話し続ける。
｢カフェの店員さんなんだけど、こんな俺でも優しく包み込んでくれる凄く良い子だった。魅力が沢山あって、俺はすぐに惹かれた。でもね、サセンが原因で会えなくなったんだ。彼が俺を拒んだ｣
一度も見せたことのない、寂しそうな悲しそうな表情で話す。
そういえば、一時期これくらい機嫌が悪かった時があったな、なんて思い出す。
｢正直もうダメだって思った。でも、あの子からまた歩み寄ってくれた。電話番号を書いた手紙をその店を通して渡してくれた。もう一度話ができるって舞い上がっている時に交通事故。しまいには高次脳機能障害っていう記憶障害だよ。俺の事、綺麗すっかり忘れてるんだ｣
ジスヒョンの言葉に絶句する俺ら。
けれどハニヒョンだけは怪訝そうな表情をジスヒョンに向けた。
｢ねぇ、お前、"彼"って言わなかったか？｣
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作者名：ピーナッツバター | 作成日時：2021年8月2日 2時
