不-▽ ページ27
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「絶対あいつ、なんか怒ってるよな」
『機嫌悪いよね〜』
リビングからキッチンに居るジスヒョンを眺める。
自分で豆を挽いてコーヒーを作ってるみたいだけど、一つ一つ過程を終わらせていく毎にガラスポッドをワークトップに強く叩きつけ、深く溜息をつく。
かと思えばまた真剣にお湯をコーヒーフィルターに注いでいる。
何を考えているのか分からないけれど、機嫌が悪いことは俺らにもひしひしと伝わってきた。
先日、ジスヒョンが練習が終わった途端、糸が切れたみたいに練習室から飛び出して行った。
まぁすぐに帰ってくるだろうと俺らはそれに何も言わなかった。けれど、ジスヒョンはその日帰ってこなかった。
流石に心配になって何度も電話を掛けたけれど電話には一度も出ない。幸い、仕事は被っていなかったもののメンバーが練習室から飛び出したあと、帰って来ないなんて心配でしかない。
かと思えば、昨日のお昼頃にジスヒョンは帰ってきた。ディノが早速飛びつきに行ったけれど、あっさりかわされてあれから部屋に籠ってずっと出て来なかった。
ダンスでも不可解な点が見られ、スニョンもかなり心配していた。
もしかしたら俺が指摘しすぎて病んじゃったんじゃないかって。
ジョシュアの事だからそれは無いってハニヒョンに即答で言われてたけど。
「…ジュンフィ?」
『んあっ?』
「お前、話聞いてなかったな」
『そうだ。ミョンホのとこに行かないと〜』
「おい逃げんなって」
絞め殺されると思って、脱出を試みたが、ハニヒョンに手を掴まれて挙句には肩まで組まれた。
もう逃げ場はなし。
ハニヒョンと二人でずっとキッチンに居るジスヒョンを眺めていたら、コーヒーが出来上がったらしく、ジスヒョンはコーヒーカップを持って部屋へ戻ろうとした。
そのタイミングでハニヒョンも立ち上がり、ジスヒョンに近づいた。
「ねぇ、お前さ、なんか俺らに隠してる事ない?」
「…別に。ごめん、ちょっとそこどいてくれない?」
「まだ話聞けてないんだけど」
少し口調が強いハニヒョン。
いつの間にかリビングに来てたミンギュと一緒にハラハラシながら2人の様子を見守る。
「はぁ…なんの話しをするって言うの?」
「何をそんなイラついてんの?」
「別に」
「じゃあ何か隠してることはないかぐらいすぐ言えよ。メンバーにも言えないことなの?」
「ないってば」
二人はどんどんヒートアップしていって、俺とミンギュは顔を見合せた。
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作者名:ピーナッツバター | 作成日時:2021年8月2日 2時