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「わ…素敵。すごいお部屋だね」


「そうだな。…主張が激しい」


「それがいいんじゃない」



ホテルの部屋は少し特別なお部屋。私が1番好きな、不思議の国のアリスがモチーフになったお部屋。取れたのは奇跡だった。

いつも家族で泊まるホテルに比べるとベッドしかないその部屋は凄く小さく感じたけれど、それでも全然気にならない。


夕食まで済ませてきたから後は寝るだけで、お互い変わりばんこでシャワーを浴びた。

先に入らせてくれた冴くんがシャワーを浴びている間に外を眺めていたら、烏の行水を終えた冴くんが背後から目の前のガラスへ手をついた。

包み込まれる感覚に思わず息を止めてしまう。

手の甲から包み込まれて、指を絡ませ合う。ゆっくりと振り返れば、そっと唇を盗まれた。



「…私、苦いの嫌いなの」


「そうか。…ママのお菓子の食べ過ぎだな」


「そうかも」



手を引かれて、アリスがモチーフになったベッドに転がされる。

額に唇が落とされ、瞼、鼻筋、唇へと滑っていくのを時折ピクリと震えながらも黙って受け入れる。

黒いレースの境界線。守る人は今日はいない。超えたらどこまで行けるのかな。

あ、ママに連絡するの忘れてた。ごめんなさいママ、今は、止まれない。



「嫌なら突き飛ばせ」


「ん……優しいのがいい」



頷きながらも、突き放すのとは反対に強く首に抱き着いた。頭を撫でる手がバスローブに掛けられて、体から力を抜いた。











「んん……?」



なんか、苦しい。

そう思って重い瞼を開いたら、いつもとは違う景色があったからパチクリと瞬く。そうだ、ここはホテルだ。

思い出して、苦しいの正体へと視線を移す。お腹に腕が巻き付いていた。

その頭を撫でながら時計に目をやれば、もう起きなきゃいけない時間。ホテルのビュッフェが終わってしまう。



「冴くん、冴くん。起きて。ね、朝ごはん食べに行かなきゃ」


「ん〜……」



唸りながら冴くんがゆっくりと目を開ける。

ぼんやりと見上げる瞳を真っ直ぐに見つめ返して、下ろされた前髪を優しく後ろへ撫で付けた。



「おはよう。着替えて朝ごはん、食べに行こう」


「ん…」



髪のせいかな、寝起きはなんだか幼く見えて可愛い。

これも新しく買ってもらったワンピース。ボルドーの色味は深くて鮮やかだ。



「着替えた?じゃあ、行こう」


「ああ。ん、」



差し出された手を握って、揃って部屋を出た。


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瑠璃烏(プロフ) - エリザベス女王さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです!玲王は考察の余地を残そうと思って最後まではっきりとしたことは敢えて書いてないので、ご自由にご想像頂ければと思います😌見て頂きありがとうございました! (4月7日 14時) (レス) id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - どんな気持ちで助けていたのか、、、考えても考えてもまとまりません!冴くんがただひたすらにかっこよくてずっと三途の川を泳いでました!本当に最高でした!!ありがとうございました😭 (4月7日 11時) (レス) id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王(プロフ) - 最高でした、、、‼︎主様の前作を読んでそこのリンクから飛んだのですが安定の最高さでした❤️駆け落ち系の話を見たことがなくて不安だったのですが初めてがこんな素晴らしい作品だだだ私は明日やらでも降るのかもしれません笑玲王くんはいったい (4月7日 11時) (レス) @page44 id: 2cb2cc3e09 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ニアさん» コメントありがとうございます!素敵な考察までして頂けて嬉しいです!2人とも本当にいいキャラですよね! (4月2日 12時) (レス) @page43 id: 8bc81fca4f (このIDを非表示/違反報告)
ニア - この作品を読んでから2人をめっちゃ好きになりました!最後の切ない感じが最高でした…御影くん実は夢主ちゃんのこと好きだったんじゃないか…だから微笑んだんじゃないかとか色々考えていたら切なさときゅんきゅんが止まりません…ありがとうございました!! (4月2日 10時) (レス) id: b8d76587d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2024年3月6日 11時

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