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無事 ページ38

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「一色っ!」


「あ…悠仁!良かった、無事だったのか」



当然の事ながら交流会団体戦は中止。

怪我人も出たし地形変わっちゃったし(GTG)、そもそも呪符貼られた呪霊は全部消滅したから。


そして俺は今、五条先生に先導されて来た医務室前で悠仁と合流した所だ。

包帯に覆われた視界の中、聴覚と触覚に頼って悠仁がいるであろう方向へ手を伸ばせばその手を取られて肩に触れる。



「俺は平気だけど、お前それダイジョブか!?目ぇ怪我したのかっ」


「ああ、大丈夫。でも明日いっぱいはこのままかなって家入さんが」



酷く焦った様子で問われ、少し包帯を引き下げて充血した目を開いて見せれば悠仁は傷付いたような顔をする。



「っ…痛いだろ?でも良かった、明後日には治るんだな…」


「おう」



揺れる声音に大丈夫だと笑い掛けて、取り敢えず座れる所へ行こうと悠仁に手を引かれた時、もう一つの聞き慣れた声が聞こえてきた。



「虎杖、一色!アンタらも無事だったのね」


「釘崎!」


「えっ…く、釘崎!なッ…その、顔!…ッて、」



思わず見開いた目がズキンと痛んで目元を押さえてふらついてしまい、悠仁に大丈夫かと支えられる。

それを手で制して顔だけ釘崎の方へ向ければ気丈な声が返ってきた。



「これね。呪霊じゃないわよ。京都校のやつにやられたの。心配ない」


「そんな、顔面って…女の子なのに、」


「アンタこそ目ヤバいわよ。大丈夫なの?」


「俺のはすぐ治るから。…痕、残らなければ良いけど」



グッと下唇を噛んで呟いた言葉に釘崎がまた心配ないと言って、笑った気配がした。



「それより伏黒は?」


「恵は今治療中。先生も一緒。明日には良くなってるんじゃないかと思う」


「そう。なら良いけど」



一気に場の空気が緩んで、俺もひとつ深く息を吐く。


悠仁は強くなってた。ちゃんと無事でいてくれた。

釘崎も顔に怪我があるとはいえ家入さんが治してくれるだろうし、恵もきっと大丈夫。


特級呪霊に襲撃されたのによく無事だったな…


何かが少しでも違っていたら、なんて考えるだけで怖気が走る。

今更とてつもない安心感が身体を巡って、前屈みになって腕に顔を埋めた。



「ほんと、良かった…無事で…っ」


「…安心しながら泣くんじゃねーよ」


「でもホント、良かったな。全員生きてて」



頭と背中に体温を感じて、溢れる涙が滲みていく包帯をぐしゃりと握った。

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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時

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