白学ラン ページ4
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「いいね!」
「ん?」
「君の持ってる術式だよ。中々良いものを持ってる。これを放っておくのも勿体ないなぁ」
「じゅ、つしき」
ちゃんと説明してやって下さいと文句を言う伏黒くんに五条さんは軽く返事をして、出してあったマドレーヌをもぐもぐと咀嚼する。
「あ、あのっ」
「ん?」
「つまり、その学長の所までは連れてって貰えるって事ですかね」
「うん。恵から聞いた感じもっとナヨナヨした弱虫かと思ってたんだけどそんな事なかったし」
「はあ?なんだそれ…」
そんな風に報告したのかよと文句を言おうとして、はて?と首を傾げる。
今何か違和感が…
「…恵?恵っていうの伏黒くん!?」
「あーもう…そうだよ、恵。伏黒恵。何か悪いかよ」
「あーいや違う違う。良い名前じゃん、恵って」
そう言うと伏黒くんは居心地悪そうにふいっと視線を逸らして小さく相槌を打った。
ーーこうして俺は、取り敢えず高専へ赴くことになったのである。
ーーー
「え、それ制服?」
「はぁ……」
深い溜め息を吐き出すAを見下ろせば、居心地悪そうに鞄を肩に掛け直していた。
その様子はただ目立つのが嫌だというだけには見えなくて、どうしたものかと見つめながら声をかける。
「珍しいねぇ白学ラン。良いじゃん、似合うよ。あ、高専の制服って自分の好きにカスタム出来るんだけど、白にしよっか?」
「やめて下さい」
即答。
しかも食い気味。
「もう良いです、白は。…もう沢山です」
「…そう?じゃあテキトーに頼んどくね」
「はい、ありがとうございます」
笑おうとして失敗したみたいな顔を向けられて、でも大人だから知らないフリをしてあげる。
Aはまだ高専の寮に入らない。
大切な弟さんを叔父さんに預けるらしく、家を空ける準備が整うまではという事で。
だから今日は高専までの道を案内する事になった。
前から感じていたけど、やっぱりこの兄弟はあの家に2人暮らしだ。
車も無いし、4人暮らしにしては靴も少ない。というか全体的に物が少ない。
写真も無いから両親と仲が悪いのかも分からないけど。
一度きちんと調べた方が良いなと、頭の中へ留め置いた。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時