射撃の練習 ページ21
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キンッキンキンッキンキンッ
BB弾が金属の的に当たる高い音が響く。
今Aは2年の先輩たちに振り回される伏黒と釘崎を横目にエアガンで早撃ちの練習中。
大分精度も上がり、実銃の反動にも慣れてきた。もう少し強いのも試そうかという所である。
「一色、俺もそれやってみて良いか」
「おう、もちろん」
汗を拭って歩み寄る伏黒に笑顔で頷き、手にしていたグロック17を手渡す。
伏黒が思ったよりデカいなと素直に感想を零してどう構えるのかAに指導を仰ぐと、AはCz75を取って隣に並んだ。
「持ち方は自分が安定する持ち方を模索した方が良い。フロントサイトとリアサイトが視線と水平になるようにして」
「こうか?」
「そうそう。肘は伸ばして、反動で肩イッちゃわないように力入れて。実銃は重量も反動も凄いから」
言われた通りに構え、グリップを包むように左手を添える。
先にAがBB弾を撃ち出し、キンッと小気味よい音が響いた。
伏黒も続けて1、2、3発と撃ち出せば何れも小さな的に当たり、Aがパアッと顔を輝かせる。
「すげえじゃん!ただちょっと右に寄るのが癖っぽいから改善の余地ありかな」
「思ったよりしっくりくる。っつーか確かにこれ楽しいな」
「だろ!」
2人して笑い合いながらこの銃はあーでこーでと話を展開していれば、一年の女王様が大声でその空気をつんざいた。
「おい一色!なにアンタだけゆっくりしてんだ!交代すんぞ!」
「え、あ、はい!すぐ行きます!」
「何で敬語なんだよ?」
「釘崎は姐さんだからさ」
「はあ?」
Aは盛大に呆けた顔を晒す伏黒に笑い声を返して、パンダと狗巻に投げ飛ばされる釘崎の元へ急いだ。
パンダにぶん回されて地面にベシャッと落下しビャービャー泣き始める一色を見て伏黒は相変わらずだと笑い声を零し、XDMを持ち上げる。
ーーしっくりくる。
ひとつ頷き、教わった通りに照準を合わせて構える。
ドチュンッと重い音と共に弾丸が打ち出され、伏黒は目を見開き反動でよろりと後ろに足をついた。
「はッ……な、んで本物なんだよ…!?っオイ一色!エアガンと実銃一緒にしとくんじゃねえ!危ねえだろうが!」
「う"うぅうッ…姐さん恵がいじめる…」
「なんで実銃とエアガン間違えんだよ伏黒ォ!」
「何で俺がお前に怒られなきゃいけねえんだよ!?」
「あはははwカオスww」
今日も今日とて、先輩後輩関係は良好である。
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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時