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遊ぶと言っても放課後うらさんの家に行ってゲームするくらいだった。途中で買ったたくさんのお菓子たちを机に広げて、食べたくなったら食べて、その時は寂しい気持ちを忘れてとても楽しんでいた。
「今日はありがとな、うらさん」
「おう!また来いよ」
にこりと笑って手を振るうらさんに俺も手を振って、うらさんの家を出て帰路についた。まーしーとセンラは用事があるからと、早めに帰っていたから自然と一人になる。でも寂しくはなかった。さっき負けちゃったな、とか次は勝ちたいなとかずっと余韻に浸りながら歩いていた。ふとスマホをみると、一件通知が入っていた。
送り主は俺の大好きな彼女で、すぐメールを開く。内容は明日来てほしいとのことだった。内心ソワソワさせ、でも俺の足取りは少し重く感じていた。
「(なんだろ…)」
不意に立ち止まって、送られたメッセージを見つめる。彼女には似合わない珍しい固い文章。簡素で改まっている感じ。俺も分かったとそれだけ送って、スマホの画面を消すのと同時に顔を上げた。
しばらく歩き続けて、見えてくるのは俺の家。それと、Aの家。横目で見ながら歩いていたけど、ふいと視線を逸らした。家に入ると、俺の家にはない靴が一足。リビングに行くと、俺の母さんとAのお母さんが一緒に話していた。
目の前にはいつもは使わなさそうな、来客用のティーカップが二つ。湯気が出ているのをみると、まだ
どうしたのかな、何かあったのかなと不安になるが、でも元々俺の母さんとAのお母さんは仲がよかった。だから、自然とAと仲良くなった。
だから、ただ遊びに来ただけだよね、と自分の心に言い聞かせた。
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作者名:天音 | 作成日時:2022年12月14日 19時