2.火曜日の本音。 ページ5
「明日も来るね」と彼女に言って、俺は家に帰った。次の日、学校も終わり今から行くねとメールを送ろうとするときに、気づいた。靴箱の上に、封筒があった。スマホをポケットに入れて、その封筒を確認しようと思い、中を開こうとすると、後ろから肩を組まれる。
「うわっ?!……って、うらさん…」
「やっほー。坂田、それなに」
「もしかしてラブレターちゃう?」
冗談めかして、センラが言った。中身を確認してみると、案の定ラブレターで、校舎裏でまってると書かれていた。これを書いた差出人は書いておらず、でも内心どうでもよかった。俺はそれよりもAに会いに行きたかったから。
「坂田それ行くん?」
「いや、俺この後用事あるし……こんなの冗談みたいやし」
「いや坂田、マジかもしれねぇぞ」
「女の子の気持ちを弄ぶん、坂田」
「俺が悪いみたいやん!!」
「実際そうだろ」とうらさんが笑った。でも、本当に俺はAしか見てないし、好きじゃない人から告白されても困るし、それに告白に「傷」は付き物だ。それはどちら側も同じだ。振るにしても、振られるとしても。
「いや、俺好きなこるもん」
「え、坂田好きなこおるん?誰なん?」
まーしーに問い詰められて、俺はAの名前を答えた。納得したような顔を三人そろってして、まーしーからうらさん、センラと次々に口を開いていく。
「あーやっぱりかー」
「まぁ、分かってたというか、なんかね」
「バレバレやねん。坂田は」
そんなばればれじゃないと思う。と返して、俺はその手紙をバッグに詰めた。靴とシューズを履き替えて、外に出る。うらさん達も履き替えて、俺についてきた。そして、スマホをポケットから取り出して、さっき送れなかったメールを今度こそ彼女に送った。
「え、校舎裏行かねーの?」
うらさんがそう言った。俺だって、好きって言ってくれるのは嬉しいけど、Aに会いたいし。それにAと話す時間が無くなるのはとても嫌だ。差出人も分からない、そんな人に時間を費やすよりも、Aと話す楽しい時間の方が有意義だし、俺は好きだ。
そのことを伝えると、うらさんたちは納得したような顔をして俺のとなりを歩き出した。
「まぁ、名前かいてない方が悪いんやし、しゃーないしゃーない」
「諦めろってことだな」
「名前書くのって大事やな」
きっとどれだけ俺がAに一途かを、うらさん達はよく知ってる。だから、知らないふりをしてくれた。
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作者名:天音 | 作成日時:2022年12月14日 19時