【胡蝶の夢を見ゆ。】SDRA2 (ページ7)

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Prolog-5 ページ7

水着に着替えて戻ってきた皆は、本物の修学旅行のように遊び始めた。
私もこの傷がなければ参加したかった。
…いや、他生徒達と仲良くすることはしない。仲間と交流したいだけだ…。余計な情は持たない。

前田「はぁ…」

歌舞谷「皆あの始末だし、これ以上止める方法も無いわね。どうしてあんなに呑気でいられるんだか…」

讀賣「おーい！まだ入ってない人！入るなら早く入りなよ！」

前田「…空、入るの？」

空「いえ。楽しそうですが、今はなんだかそういう気分ではないので。」

前田「他の皆は？もう落ち着いて話すのなんて無理そうだから、顔色を窺わずに遊んでもいいよ。」

歌舞谷「私はいい。そもそも賑やかなのはあんまり好きじゃないし、ちょっとめまいがするから座ってるわ。」

真行路日「私も大丈夫。見てるだけで。水に触れるのはあんまり好きじゃなくて…。」

『その問ひならば、"否"といらへおく。
訴へば、精神的苦痛を受けきと証言するが適切ならむ、さなると水遊びは不利になり得れば。
(その問いならば、"いいえ"と答えておきます。
訴えるなら、精神的苦痛を受けたと証言するのが適切でしょう、そうなると水遊びは不利になり得るので。)』

前田「えっと、否…ってことはしないんだね…。」

光目「………」

三王寺「………」

前田「そっちの2人はほとんど何も喋らないね…。
…
…
…
くそっ！僕はもう知らない！！
みんな！僕も仲間に入れて！！」

空「…前田さん、諦めましたね。」

本当は、この腕の傷が見られたくないからなのだが、それ以上は何も聞かれなかった。いや、後半の意味が理解されなかっただけかもしれないが。
それでも、この最後の平穏を目に焼き付けておこう。計画が始まってしまえば、もう見ることは出来なくなるだろうから。
…手を汚した後に見る景色は、どれだけ美しくても色褪せてみえるものだ。

直後、視界が暗転した。まるで照明が消されただけかのように、意図も簡単に、抵抗も出来ず。