望むは地獄の夢なり【迅悠一】 ページ7
「記憶がないみたいなの」
「えっ…………」
取り返しのつかない読み逃し。それは俺を絶望に叩き落した。
ガラガラと足元が崩れる音がした。
「A………………？」
「あぁ、あなたも私をご存知何ですね。でもごめんなさい。
何も覚えてないのです」
「……っ」
瞬く間に無数に広がっていく未来。
そのどれもに彼女が記憶を取り戻す瞬間は写っていなかった。
大切な人だった。
でも、俺が彼女をあからさまに大切にすることはなかった。
死んだような恋をしていた。
彼女も俺を好きだった。
お互いに好きで、お互いがお互いを好きな事を知っていて、それでも俺たちは明確化できる関係性にはならなかった。
寂しさと、喪失感を補うように相手の恋心を最初に利用したのはどっちだったか。
気が付けば、昼ドラ主人公もドン引きの底なし沼に2人して沈んでいた。
深い口付けだけを呼吸にどこまでも高度を落としていった。
その空間は俺と彼女しかいない。
俺と彼女がキスで繋がって、生きていられる。
それは幸せな沼地獄だった。
地獄から這い上がる機会は残酷すぎるものの喪失を理由に訪れた。
「俺は、迅悠一。ボーダーの実力派エリート」
「迅くん？」
「うん、君の＿＿＿＿＿＿＿＿だよ」
俺は君を天国に送り届けるから、
だから、どうか、今はまだ
俺に地獄の夢を見させて＿＿＿＿
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日葵(プロフ) - 初コメありがとうございます！更新は遅くなりますか必ずしますので！ (2022年1月22日 19時) (
レス) id: 7d431a7f78 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 乱歩さんめっちゃイケメン！好き！！続き楽しみにしています！ (2021年12月10日 13時) (レス) @page4 id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：日葵 x他1人 | 作成日時：2021年11月24日 3時
