・ ページ13
♦♦♦♦♦
「ありがとう、菅原くん。あの、どうして分かったの？」
「楠さんさ、旭ばっか見てて気付いてなかったと思うけど、俺たまに楠さん見てたんだ」
「えっ！？」
「1年の頃から見てたよ。旭のことよく見てるな〜って。最初はちょっと警戒してた」
「えぇ……」
初耳と情報量が多くて、驚きが連続だ。そんなにたくさん見てたかな。恥ずかしさに思い出すと、確かに東峰くんばっかり見ていたような気がする。
「健気にずっと見てるだけだったから、こっちが焦れちゃって、今日は背中を押しに来た」
「え？」
「旭、東京にある服飾の学校に行くって」
風の噂では聞いていた。こんな片田舎から東京に行く人なんてそんなに居なくて、噂はすぐに広がる。
ジィっと視線が繋がる菅原くんが、本当に優しいのだと分かる。こんな、ほとんど関わったことのない人の恋を考えてくれたのだ。優しい、人だ。そして、厳しい。だから、早く行けと彼の目が語る。
好きな人の親友が、背中を押してくれた。応えなければと腹をくくって、勢いよく席を立つ。
「ありがとう、菅原くん」
「どういたしまして。旭は今頃校門にいるよ」
「うん、ありがとう。本当に、いっぱいありがとう」
「がんばれ！！！」
「おう！！」
荒っぽく親指を立てて、夕暮れの廊下を足早に突っ走る。
走って、走って、走った先に君がいた。
校門に夕暮れを背に東峰くんがこっちを見ていた。真っ直ぐに、私を捉えた彼が大きな声で言った。
「楠さん！俺は！3年3組の東峰旭です！」
おっきな声、初めて聞いたなと頭の隅で考えて、ふーーーっと大きく息を吸った。息もゼェゼェで横腹が痛いのに、2年くらいずうっとしんどいくらい苦しかったのに、もう、苦しくないの。
「私は！3年4組の楠Aです！」
「ずっとあなたが好きでした！！」
「付き合ってください！！」
私ね、全身全霊、100%ずっと恋をしてるの。
·
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「俺、入学式の時にあの子に一目惚れしたんだ」
「誰にも言うなよな、旭」
·
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日葵(プロフ) - 初コメありがとうございます！更新は遅くなりますか必ずしますので！ (2022年1月22日 19時) (
レス) id: 7d431a7f78 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 乱歩さんめっちゃイケメン！好き！！続き楽しみにしています！ (2021年12月10日 13時) (レス) @page4 id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：日葵 x他1人 | 作成日時：2021年11月24日 3時
