ふわふわのそうぞう ページ6
空飛ぶ札にまた乗せてもらって、今度は民家に着いた。
インターホンの後、中に入らせてもらうと、なかなかにやつれた女性が出迎えてくれた。
正気な人はこんな空飛ぶ札のおかしな奴には何も頼まないと思うが、何も手立てが無く、追い詰められれば話は別だろう。
尊「では、今回は息子さんが起きないのを調査するということで。」
母親「はい……お願い致します。」
今にも消え入りそうな声だ。ところで起きないというのは?夜更かしがたたった位ではここまではならないだろう。二階にある息子さんの部屋に向かう途中、その子について尊から説明を貰った。
名前は霧箱 颯(きりばこ そう)。中学生だが、もう半年弱眠り続けているらしい。
部屋のドアは軋み、片づいた部屋にはうっすらとホコリがかかっている。
ベッドに寝かされているのが颯さんだろう。
尊「よし、僕らはこれからこの子の夢に入るよ!」
耳は疑ったがこいつのことだ。有り得る。
あいつ曰く枕の精霊?とやらからもらった、手持ちのランプをかざした。その光で効果が現れたのは、想像に難くないだろう。
周りは白く、ぼやけた世界だ。
とりあえずあてもなく歩くと、尊と、知らない学生が居た。学生は、よく見れば寝ていた人に似ている。つまり彼が颯だろう。
颯は俺等と違って浮いている。それに、何やら綿の様な、薄く色の付いたものを操っている。
尊「こんにちはー、颯さん?起こしに来ました。」
颯はゆっくりと振り返り、答えた。
颯「はい。僕が颯です。」
尊「あの、起床してくださるとありがたいのですが。」
すると颯は困ったように話す。
颯「それが……何らかの呪いに掛かっていて、ここから出られないのです。呪いの原因もさっぱりわからなくて。」
尊がランプを掲げ、颯にかざすと、灯火に照らされて、夢色の、呪い色の鎖が視えた。
おそらくこれが、夢から脱するのを邪魔しているのだろう。
だが、同時に、
尊は気づいた。灯火の暖光の影に、颯の現実での所業が映るのを。
尊は颯に背を向け歩いていってしまった。
振り返り、尊は聞く。
尊「本当に、呪われる心当たりはないのですね?」
颯「はい。本当に。」
尊は飛ぶ用とは違う札を取り出し、全くもって風になびかないそれをランプに打ち付け割った。
ランプからガラスと、得体の知れない音、まさかないと思うが魔法の漏れる用な音がした。
俺の視界は暗くなり、悪夢を見た後の様に息を切らして起き上がった。
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作者名:山岸ふあ | 作成日時:2023年2月9日 7時