人間界は平和ですか？ (ページ1)

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冬、雪色の青少年ページ1

12月末日、東京某所
「それでは、皆様」
「かんぱーーーーーい！」

ザワザワ
「めっちゃ懐かしー」
「今どうしとる？」
ザワザワ
「最近のアレどう思うー？」
「ちょっと、やめてよ〜。」

星野「よお、駆(かける)ぅ〜。楽しんどるかぁーい？相変わらず1人だなぁー？」
駆「うざったらしーなー。別にどうでもいいし。」
星野「ところでさー。これで全員だよな、40-休みで、え～と。」

居酒屋の外
尊「よし、この術で大丈夫なはず。」

カランラーン
店員「らっしゃいませー」

星野「ん？あぁ、尊じゃないか。ほら、光道尊(ひかるみちたける)。」

駆はジョッキから口を離し顔を上げる。
……その少年？いや青年？は余りにもここに不似合いだった。

まず髪が白くて長い。
そして平安時代のあれ、あれだ陰陽師みたいな格好をしている。

こんな奴覚えてないぞ。
ただでさえ半分以上顔がわからないってのに、周りも全く動揺しないから関係性もわからない。

周りはさも当然かの様に行動している。

しかも彼は肩の上に浮くキツネが居る。別に俺は霊感持ちではない。しかも喋った。

キュイ「ぼくはねー、キュイっていうんだよ。変化もできるんだよ！」

キツネはくるりと縦回転したかと思えば、小さな和服少年になって肩の上に乗っていた。耳と尻尾はキツネのままだが。

「キャーかわいいー！」

女子勢が感想を言っている。

俺は星野に目線をやって、なにか彼についての情報を得ようとした。

星野「あぁ、兄弟でもないのに、珍しい光道っていう同じ名字で同級生だったやつだろ？
ふぅぇ〜やあ遠崎(とおざき)ちゃん、織姫っていう名前は大丈夫なのかい？理解されてるかい？」

大した情報では無かったし、小学のときのことを掘り出して迷惑かけるし、どうせ酔っ払いだ。

少し遠くの席に、花通時子(はなどおりときこ)さんが居る。ほんのちょっと眺めてから前を向いた。

尊、だったか、そいつは何かを書いたメモを差し出してきた。

尊「ここに書いてある日付に、この場所に来てほしいんだ。」

とりあえず受け取ると、どこかの中学校と、数日後の日時が書いてある。

用事はあっただろうか、よく思い出せないが無かっただろう。
適当な返事をジョッキ越しにして、了解の会釈をした。

尊は満足そうな顔をして、店を去った。
そういえば、持ち物を聞き忘れたが、少し遠出する位のでいいだろう。