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年末である。
…年末、である。
大事なことなので2回言った。年末というのはそれはそれは忙しい。
私の横で新聞のテレビ欄をつまらなそうに眺めている人が居るというのに、事務室では事務員さん一同がひいひい言いながら今年の諸々の集計をしている。お疲れ様です、と思わずにいられない。頑張ってください。
とはいえ、探偵社員も暇などでは決してない。
そう、年末といえば、大掃除である。
大掃除と言っても、仕事納めがまだ先のため、本格的な掃除はまだしない。
しかし今朝社長が「机周りの整理程度は始めておくように」と仰り、皆で業務の隙間を縫ってちまちま片付けを始めているのである。
しかし、何かがおかしい。
おかしいのだ。
乱「なんで君の机から僕のポテチ用マジックハンドが出てくるのかなぁ」
そう、まさにそれである。
私の机の引き出しの中から乱歩さんの私物がごろごろ出てくる。それも手品と言われれば信じてしまいそうな量が。
ポテチ用マジックハンドを始め、駄菓子についていたキリンの積み木、天使の指人形、小汚いくまのぬいぐるみ。くまに関しては完全に以前私たちを殺しかけた例のあいつだったので気づいた瞬間窓から捨てた。
とにかく、なにやら色々出てくるのである。近くを通りかかった敦くんが「うわっ」と零してしまうくらいに。
乱「やったのが僕じゃないってのは分かってるよね?」
ははは、まさかそんなこと考えませんよ、とは言えなかった。だって乱歩さんの私物だもの。彼以外の人間がどうこうできるものじゃない筈だ。
乱「もしかして、疑ってるの?」
乱歩さんは心外だと言わんばかりに頬を膨らませた。
こればっかりは可愛く憤慨しても駄目である。だって乱歩さんのだもの。
貴「でもこれ、全部乱歩さんのですよ…」
私の机の上に積み上げられた乱歩さんの私物達が悲しげに私を見下ろしている。そんな目で見ないでくれ。
乱「僕がAにそんなことする訳ないじゃない!それに、こんなことする理由もないよ。犯人は他にいる」
ぷいっとそっぽを向いてしまう乱歩さん。確かに、乱歩さんはこんな意味不明なことはしない。いや、するけど。こんな地味な嫌がらせじみたことはしないはずだ。
それならば、一体誰が。
犯人が分かっているはずの乱歩さんはぷいーっとそっぽを向き続けている。むう、自力で探し当てるしか無いようだ。
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麗(プロフ) - 5ページ 太宰さんに乱歩さんに 乱歩さんを ではないでしょうか? (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 3ページ 丈が眺めの 眺め ではないと思います、、 (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - みずさん» 嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月13日 19時) (レス) id: 3b14457373 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 乱歩さんに萌えました。あなたとあなたの作品が好きです心から。 (2018年8月9日 6時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - 通りすがりの変人さん» 嬉しいです!頑張ります!読んで頂きありがとうございます〜! (2018年5月27日 5時) (レス) id: a4f8881ef2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛花落葉 | 作成日時:2018年3月21日 15時