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*19* ページ20

みしり、と窓枠が軋み、轟音とともに窓が弾けた。
立て続けに壁が破られる。反動で机がひっくり返った。

あの不気味なぬいぐるみを送り出して、もう2時間が経とうとしていた。


貴「なんで電話出ないんだ太宰さん…!」

乱「またいつものだねぇ」


探偵社の事務フロアでは、薄汚れたぬいぐるみが金槌を振り回し暴れまわっていた。

先程から、アルミ製の机がガシャンガシャンと音を立てているのが聞こえてくる。



数時間前の嫌な予感は見事的中し、私の異能の制御が効かなくなったぬいぐるみは、見事に私たちに襲いかかってきていた。

当然乱歩さんのお陰で予想出来ていたので、私たちは内側からも鍵がかけられる鉄製の金庫の中に隠れていた。「いくら金槌でも、少しくらいは時間が稼げるよ」と、乱歩さんは言っていた。


乱「面倒な異能だなぁ、君のは」

貴「うぅ…すみません…」


異能力にはそれぞれ短所がある。

太宰さんは異能力者にしか効かないし、国木田さんは手帳が無いと異能が使えない。与謝野さんは瀕死の重症しか治せないし、賢治くんは空腹時しか異能が使えない。
私の異能は一見チート能力なのだが、大きな欠点があった。

『13番目の魔女』は、触れたものに意図的に自我を与えられる能力だが、与えてしまった自我は完全に奪ってしまわねばならない。
その理由が少々面倒で、自我を与えた主である私に、何かしらの危害を与える、からである。
制御が効かなくなった物たちは例外なく暴れまわるので、異能の重ねがけもできない。

つまり、自我が奪えなくなると、私は最悪の場合死ぬ。

対象が金庫に篭城し姿を追えなくなったぬいぐるみは、今とりあえず社内を荒らしている、という感じだろうか。


この特性をよく理解している乱歩さんは、異能無効化が可能な太宰さんに連絡がつくまでの間、社内でいちばん安全な場所に閉じこもった。

今いちばん危ないのは私だが、乱歩さんは「不本意だけど、僕には君を守れる力がないからね。畏怖すべき対象には、一周回った畏怖を与えなきゃ沈静化できないんだよ、多分ね」と一緒に金庫に篭城した。

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(プロフ) - 5ページ 太宰さんに乱歩さんに 乱歩さんを ではないでしょうか?  (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 3ページ 丈が眺めの 眺め ではないと思います、、 (2021年3月28日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - みずさん» 嬉しいです!ありがとうございます! (2018年8月13日 19時) (レス) id: 3b14457373 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 乱歩さんに萌えました。あなたとあなたの作品が好きです心から。 (2018年8月9日 6時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - 通りすがりの変人さん» 嬉しいです!頑張ります!読んで頂きありがとうございます〜! (2018年5月27日 5時) (レス) id: a4f8881ef2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛花落葉 | 作成日時:2018年3月21日 15時

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