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* 菅野side *
声を掛けると泰示は昼飯が無くなる! Aありがとね。と言って頭をひと撫でして先に練習場から去って行った。
Aも、こちらこそと満面の笑みで元気よく返事をして、僕の方に向き直った。
「!!」
振り向いた彼の顔は今まで見たこともない、バツの悪そうな顔をしていた。
何か悩んでいることがあるように見えたから、どうかしたのかと聞いてみたが首を横に振ってなんでもないですと答えた。
...なんでもないなんて嘘に決まっているが彼がそう言うなら今はなにも聞かないようにしよう、そう決意して食堂に向けて歩き始めた。
「...智之さん、僕才能ないですかね。」
僕と一緒のメニューを頼んで席に着いたが、まだ手もつけていない彼がそう呟いた。
やっぱりそういう悩みね、キャンプ開始からずっと見てきたからなんとなく予想はついていた。
「...それを評価するのは僕じゃないと思うよ。」
「...僕は、今の状態をどう思うか聞きたいです。
フリーでも打者にとって嫌なところに投げて1つでもコツを掴みたいのに、
さっきの練習みたいに何度も柵越えされて...!」
「.......... 」
悩みを話し始めると自制が効かなくなったのか目に涙を溜めている。
しかしここは食堂で休憩中でもあるから結構人も多い、周りも喋ってはいるがこっちをチラチラ見ている。
場所変えようか、そう伝えようとすると、
「なんや智之、A泣かせたんか。」
「...ほんとやめてください。」
勇人さんが僕が主犯のような言い方で話し掛けてきて、Aの隣に座った。
「A、こんな早くから悩みか? 少し考え過ぎ。」
「でもっ!」
「でもじゃない、こっちはプロ生活何年目やと思ってるん。新人に三振取られるような練習せえへんわ。」
流石に厳しいなって思ったけどそこはキャプテンで、でも打ちにくかったで、とフォローも加えていた。
「新人は打たれてなんぼやろ。それにAはまず、精神面の強化が必要みたいやな。」
「...A、お前は『なんとかなる』精神で頑張るって言ったでしょ。
勇人さんが言ったみたいに打たれて学べばいんだよ。」
そう伝えると、頭を上下にコクコクと揺らした。
((...泣くか!?))
(...っく)
((...必死に耐えてる。))
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さや - 柊樺さん» 楽しみにしてますが、あまり無理をしないで下さいね♪ (2019年3月14日 15時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» やっぱり甲子園は何かありますよね! 小話かなにかで主人公の高校時代の話を書けたらなんて思ってます! (2019年3月12日 17時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - 柊樺さん» やっぱり、あの試合でしたか! 甲子園の魔物を実感した試合でした。「勝って涙の中京大中京、負けて笑顔の日本文理」名言だと思いました。日本文理の投手は忘れましたが、中京大中京のエースは堂林さん。優勝決定時は外野手してましたが、彼はエースでした。 (2019年3月12日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
柊樺(プロフ) - さやさん» コメントありがとうございます! その試合を参考に話作ってみました、さすがです!笑 リクエストなどあれば気軽に送ってください! (2019年3月11日 22時) (レス) id: e54ee28eca (このIDを非表示/違反報告)
さや - おはようございます。たまたま読んで、ハマってしまいました(笑) 主人公の高校時代の一戦は、日本文理VS中京大中京の決勝を思い浮かべながら読んでしまいました(時期は少し違いますけどね)。 (2019年3月11日 7時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊樺 | 作成日時:2019年2月22日 13時