第四十五話 ページ45
これは幻覚
有り得ない世界
分かっている
分かっている
脳は何度もそういうのに
身体はなんとまぁ正直なことか
溢れ出る汗が止まらない
出勤用のカバンを地面に落とす
呼吸が出来ない
「A」
安心する
大好きな声なのに
顔を上げることが出来ない
「どうした、具合でも悪いのか」
大きくて太い指が
顎を持ち上げる
綺麗な空色
どうしようもなく
縋り付きそうになる
「顔色が悪い。小官特性ドリンクをやろう、元気が出るぞ」
見惚れる笑顔で
心を掴んでくる
言わなきゃ
言わなきゃ
早く貴方に
大切なことを、伝えなきゃ
「毒島さん」
「…」
笑うだけで
彼はなにも言ってくれない
もう期待していない
そう言っているようだった
「浅はかな行為だとは思っている、すまない」
「え…」
「幾らか貴女に失礼な行動してしまったな」
貴女
ドンッと胸を押された感覚
顎から頬に触れていた指が
するりと離れていく
無意識にその手を掴んだ
「Aの手は、小さいな」
「ぁ、…毒島さ、」
「もう遅い」
軽く振り払われる
大した力も入ってないのに
私の手は宙を舞って元の位置に戻った
終わった
「すげぇ悲鳴、耳が痛いね」
「リーダー、今港近くの工場で囮役してた奴からMAD TRIGGER CREWの連中が現れたと連絡が…」
「うーんやっぱり来たか。そして見事に引っかかってくれたね」
潰せるものなら潰せ
そう部下に指示する彼は
縛り付けられた彼女をみて哀れな目を向ける
可哀想に
可哀想に
何度もそう思う
「毒島なんかに目ェ付けられるから」
薬でとち狂った
そんなふうに見える彼女の頭を撫でる
「愛してる」
何度もそう囁いて
顎を持ち上げ
唇に触れて
そっと顔を近付ける
大きく音を立てて
扉が開かれた
「嘘でしょ」
良いことろで
邪魔が入る
大きな身体
一歩一歩踏み出す度に
靴音が響く
「うん、とりあえずここまでご苦労さま」
労いの言葉を
適当に並べる彼
それに動じない相手は
ただ立ち竦むのみ
「今取り込み中なんだけど」
「ああ、だろうな」
淡々と言うものだから
彼は思わず頭を抱えた
「なんでここに居るのさぁ」
毒島メイソン理鶯
「今から小官は、貴様らを殺してしまうかもしれない。しかし保証しよう」
「苦しまず、一瞬に、だ」
笑っている
確かに笑っているのに
溢れ出る殺気は
彼のマイクの力となる
殺す
強い意志を持って
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彪雅(プロフ) - Locoさん» 一日に二週も！貴重なお時間を使って頂きありがとうございます！もうこの作品以上の良い物作れる気がしません(^^;楽しんで頂けたようで嬉しく思いますありがとうございます！ (2021年7月2日 7時) (
レス) id: 1f8ddf155c (このIDを非表示/違反報告)
Loco - 一日で二周しました。なんかもう幸せすぎます！ありがとうございました！ (2021年6月30日 18時) (レス) id: 2cf4de4ba9 (このIDを非表示/違反報告)
彪雅(プロフ) - 完結してもうすぐ一年やのに未だに通知来るの怖いみんなヒプマイ大好きかよありがとうございますありがとうございます (2021年5月31日 23時) (レス) id: 1f8ddf155c (このIDを非表示/違反報告)
彪雅(プロフ) - 2次元依存症さん» 返信遅くなって申しわけないです！一気読みありがとうございます頑張ります！ (2020年10月5日 2時) (レス) id: 7fa9381753 (このIDを非表示/違反報告)
2次元依存症 - すぐに一気読みしてしまいました！本当に面白かったです(^^)これからも頑張って下さい*\(^o^)/* (2020年7月14日 21時) (レス) id: 2f3de9b29a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彪雅 | 作成日時：2020年5月20日 15時
