low-key

紫 ページ9

　


　


　


　



作間「西村たとえ役の作間龍斗です。…白雪Aさんですよね」



ひらいてのキャスト顔合わせでのこと。私よりも遥かに高い位置から、ニョキっと現れた作間くん。話したことすらないが、メンバーと一緒にいるところやライブで見かけたことはあった。後、ゆうぴがよく作間くんの話をしていた。作間くんも言ってた、「よく他のメンバーから話聞いてます」と。
撮影の合間にはカメラをよく弄っていた作間くん、私のこともよく撮ってくれていた。



作間「Aさん、これめちゃくちゃ盛れてますよ」

「盛れてるって表現、遠回しで好きくないな〜」

作間「……か、かわいいです」

「作間くん顔真っ赤でかわいー(笑)」



もう！意地悪しないでください！と言いながらも楽しそうな作間くん。この撮影が終わらなければいいのに、なんて譫言までしてしまう始末だ。
地方での撮影により、ホテル住まいだった私たち。いつの間にか私は作間くんの部屋に入り浸るようになった。作間くんのハマってるキャベツを食べながらゲームしたり、台本読み合わせたり。たまにHiHi JetsやSugarplumの話もするけど。



作間「…そういえば。明日のシーンですけど、Aさんに貧しい笑顔だね、なんて言える気がしないです」

「大丈夫だよ。作間くんすごく演技上手いもん」

作間「でもAさんを突き放せる気がしない」

「んー、じゃあ練習する？」



練習って、どこから…と少しぎこちなくなる作間くん。それもそうだ、このセリフの少し前にキスシーンがあるのだから。



「……このセリフの少し前からって言ったら、どうする？」



私のことをずるい女だと言った作間くんの顔も、貧しい笑顔と言い放つたとえの顔も、私は今でも忘れていないよ。




　


　


　


　

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