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潤side
今頃、雅紀がみんなに言ってるんだろうな。
まただ。
またみんなに迷惑かけてんだ。
俺、ここにいていいのかな。
旬のとこ行こ。
潤「旬、入ってもいい？」
旬「うん。」
小栗旬。
精神科医。
あの時から、俺は何かあったら、旬のとこ行ってる。
時に、シゲも見てもらってる。
俺と同じように、あのことが抜けないんだ。
潤「旬、薬ちょうだい。」
旬「薬？もう無くなった？」
潤「いや、まだあるんだけど、3粒しかないの。」
旬「3粒？なんで？一つ足りなくない？」
潤「1つ落としちゃったの。だから、ちょうだい。」
旬「うん。分かった。ちょっと待ってて。」
潤「うん。」
旬にももうずっと、頼りきりだな。
3年前からだな。
旬と斗真と俺は、学校も、マンションも、入る時も一緒だった。
旬は、精神科医になるのに憧れてた。
斗真は、俺と一緒に小児科医になった。
子供たちの病気を俺らの手で救おうって、そう決めて。
だけど、大翔が亡くなってから、一気に崩れ落ちた。
斗真は、医者を辞めた。
憧れてた小児科医だったけど、大翔は、斗真が1番最初に担当してた患者さんだった。
だから、最初の患者さんは絶対俺らの手で救おうって、斗真がいつも言ってた。
でも、斗真は責任が強すぎて辞めちゃった…
俺も辞めた方がよかったんだ。
斗真と一緒に辞めたらよかったんだ。
いつまでもグジグジ引きずってなんかないで、シゲの目の届かないところに行ったほうがよかったんだけど。
俺はここには来ちゃいけなかったんだ。
俺が、めちゃくちゃにした。
シゲたちの人生を俺が、めちゃくちゃにした…
旬「潤。」
潤「…ん？」
遠く行ってた。
旬「はい。薬。」
潤「ん、ありがと。」
旬「ねぇ、潤。もう抜けた？」
潤「…全然。」
旬「最近寝れてる？」
潤「最初の方はちゃんと寝れてるんだけど、寝てたら、思い出しちゃうんだ。そしたら、全然寝れなくなって。」
これって、俺がただ弱いだけなのかな。
旬「潤、今はまだ焦んなくていい。
斗真も、言ってたよ？
『潤は、自分で、決めた道を進んで。
俺が、救えなかった命の分まで、潤が生きて、潤が助けてよ！
それが、俺の最後の願いなの…！
お願い、潤！
俺の願いを叶えてよ…！』
って。
斗真は、潤に全てを託した。」
斗真も旬も、誰も俺を責めなかった。
俺が大翔を殺したようなもんなのに。
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作者名：馬渕 響 | 作成日時：2020年1月17日 0時
