優麗 ３ ページ35
ボロボロと、涙が頬をつたった。会いたい。会いたいよ。お母さんに、会いたい。
「ちょ、どうしたのよ！いきなり！」
登校班が、Aの声でふと止まる。そんな様子を見て、Aは庇うように「先に行ってて！」と促した。
みんなが行ったのを確認すると、Aはそっとしゃがみ綺麗なハンカチを差し出し。俺の頭を、黄色い帽子の上から撫でた。
「私の前では、我慢なんてしないでよ」
このときのAは、俺の数倍大人で。俺が泣き止むまで、何も言わずずっとそばにいてくれた。
涙が完全に止まったのは、もう空がオレンジに染まる頃だった。
「……ごめん。Aのお母さん、心配してるよね」
「何言ってるのよ。優斗が私の家まで送ってくれれば良いの……あ」
高そうなハンカチを、涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしてしまい。洗ってから返そう、なんて考えていたとき。ふと、Aが思いついたようにいった。
「アンタ、私の執事になってよ」
羊、と聞き間違えた俺は。最初何のことだかさっぱりわからず。「そうだ、そうすれば良いのよ！！」と、目を輝かせ手を引くAについて行くしかなかった。
バカデカい庭を通過し、バカデカい家のドアを、Aが引く。相変わらず、「Aの羊……？」とクエスチョンマークを浮かべる俺。
「ただいまー！！」
Aは、俺の手を握ったまま大きな声で叫んだ。すると数秒後。
「何してるのA！こんな時間まで！
もー、優斗くんにまで迷惑かけて……」
「あのね！優斗のこと、私の執事にしたいの！」
すっ飛んで来たお母さんに、いきなりこう宣言した。しつ、じ。執事？……よ、よくドラマで見る「おかえりなさいませ、お嬢様」みたいなヤツ？俺が！？
似合わなすぎるだろ！！しかし。
「あら、良いわね〜。優斗くんなら、私たちもすごく安心！部屋も一つ余ってるし、ちょうど良いんじゃないかしら。
……優斗くん、どうかな。覚えることはあるけど、ゆっくりで良いから。ここのお家に住んで、Aのお世話係になってくれないかな」
あろうことか。お母さんは、先程のAと同じようにかがみ、ニコニコしながら俺を見た。マ、マジで！？マジで言ってるのか！？
このお屋敷に住み込みで、Aの執事？とてもとても出来る気がしない。断ろうとした、が。
「……ほら、Aって性格結構キツイじゃない？だから、なかなか頼んでもいなくて……」
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ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
