龍愛 ５ ページ20
作間くんは、長い腕を左右に広げる。おいで、って言われてるみたいで。ぎゅって、するの？密着しちゃうの？手繋ぐだけで、いっぱいいっぱいだったのに？
戸惑う、でも。私は立ち上がり、その腕の中に飛び込んだ。やっぱり細いウエストと、ずっと胸を焦がしてやまなかった広い背中。
う、うわあぁあ。作間くんに！抱きついてる！抱きしめられてる！ナニコレー！心臓がバクバクうるさくて、絶対伝わってる。
「……うん、治った」
作間くんは、私の肩をゆっくり押す。離れていく体温。ふと顔を見れば、白い肌は真っ赤で。……照れてる、の？いやいや、熱のせいだよね！
「な、治ったなら良かった！明日学校来れそう！？」
「おかげで元気百倍。ありがと」
ちっとも元気百倍じゃなさそうな声だ。作間くんは、ベッドに潜り背を向けてしまった。ぐ、具合悪くなっちゃったのかな。私が無理に起こすから。
その時、ちょうどいいタイミングで一階からは「ただいまー！」の大きな声。
「じゃ、私帰るね！お大事にね。
押しかけてごめんね、また明日！」
作間くんの体温が、離れない。意識して、ドキドキする。これ以上触れたら、一緒にいたら。きっとパンクしてしまう。
私はバッグを引ったくり、お母様に挨拶して家を飛び出した。
「……むしろ熱上がったんだけど」
そう呟いた、作間くんに気づかずに。
翌朝。予鈴ぴったりに、マスクをつけた作間くんが教室に入ってきた。昨日のハグを思い出して、まともに顔なんて見れやしない。
席離れてて良かった！
「あ、おはよ作ちゃん！」
「はよ。うわ、昨日プリントめっちゃ配られてんじゃん」
声聞くだけで。おかしいくらいにムズムズしてくる。やだ、どれだけ作間くん好きなんだ私。って言うか今気づいた。
私も龍斗くんって呼ぶのか。え、慣れない。いや心の準備が。
「……おはよ、A」
「うぇ！？お、おはよ……えーと、えっ、と……りゅ、龍斗……くん……」
日本人か！とツッコミたくなるようなたどたどしさ。もちろん一瞬だけ見て顔そらした。すると。
いきなりポン、と乗った大きな手。頭がショートする。
「よく出来ました」
龍斗くんは、固まった私の顔をのぞきこみ悪戯に笑ったのだった。心地の良い声が、鼓膜をくすぐった。
ー制服の魔法 作間龍斗編ENDー
NEXT 佐藤龍我
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2045人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
