涼想い １ ページ9
ー前の子の頭がグラグラと揺れる。あー、眠いんだろうな、と思ったのもつかの間。諦めたようにコテンと落ちた。見開く視界。
ジメジメとした体育館。大きく開け放たれた扉から雨が見える。全校生徒が集まり、朝の集会中。
実は、この集会楽しみにしていた。まぁこんなものを楽しみにしている女子高生なんて、世界で私一人だけだろう。
桜田A、高校二年生。
「えー、続いては。夏休み中に行われた大会の表彰に移ります」
来た。自然と伸びた背筋。蒸し暑ささえ、忘れてしまう。
「地区大会、短距離第一位。三年五組、橋本涼」
「はい」
名前聞いただけで、胸がギュッと苦しくなって、ドキドキする。重症だ。壇上に上がる橋本先輩は、やっぱりキラキラしていて。
それと同時に、手の届かない存在であることを再認識させられた。橋本先輩って、何であんなカッコいいんだろ？芸能界いてもおかしくない。
拍手が起こり、先生は次の生徒の名前を呼んだ。あーあ、終わっちゃった。もう目的果たしたし、私も眠くなってきた。
橋本涼、高校三年生。陸上部の部長であり、私が一目惚れした相手だ。
実は一年生のころ、私も表彰されたことがあって。書道部に所属していて、たまたま金賞を取れたときだ。
この日、初めて橋本先輩を知った。
「一年生？」
「へ？あ、はい……」
「書道部なの？字綺麗なんだね」
橋本先輩は、ガチガチに緊張している私を見て声をかけた。冬のことだった。この後、ゆるゆるのネクタイを先生に注意されていて、口を尖らせながら直していた。
優しい声色と、透き通るような瞳。気づけば、すれ違うとき。体育の時間。登下校の道で。私はいつの間にか橋本先輩を探すようになっていた。
連絡先なんて知らないし、話したのだってこれだけ。でも、これで良い。だってもしかしたら、彼女いるかもしれない。そんなの知りたくない。
だったら、見てるだけで良いの。
ボーッとしていると、いつの間にか集会は終わっていたみたいでよろよろと立ち上がった。
ー「桜田さん、呼んでるよー！」
「えっ？」
梅雨の時期に珍しい、よく晴れた水曜日のことだった。日直だったため、日誌を書いていればクラスメイトから大きな声で呼ばれた。
自然とドアの方を見れば──なぜかそこには、橋本先輩の姿。
……え？は？え？嫌だ、ついに幻想まで見えるようになったの？ちょ、しっかりしてよ私！目をこらしても、やっぱり橋本先輩がいる。
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ミント(プロフ) - どのお話もとても素敵で、短編なのに引き込まれる世界観が大好きでした！おつかれさまでした！ (2019年1月14日 15時) (
レス) id: e20fb3d910 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - 私の大好きなマジョマリがまた読めるなんて感激です（ ｉ _ ｉ ）楽しみです！頑張ってください！ (2019年1月1日 2時) (レス) id: f9588c4e4d (このIDを非表示/違反報告)
真優(プロフ) - ゆうぴのお話で、ゆうぴが一個上の先輩で、主人公が後輩の関係で直接会うとあまり話せないけどラインとかだと話せるみたいな仲でクリスマスに後輩が告白する的なものが読みたいです！ (2018年12月24日 2時) (レス) id: f8f4960291 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - お忙しい中お返事ありがとうございます(TT)！わぁ、そうだったんですね…！どれも素敵なお話だったので残念で寂しいですが、お返事頂けて嬉しかったです！これからも楽しみに読ませて頂きます☆ (2018年11月22日 22時) (レス) id: 2bc4477fb2 (このIDを非表示/違反報告)
れなさん(プロフ) - りんさん» りんさんはじめまして！いつもありがとうございます(*^^*)実はDeuxの方削除してしまいました……。もし好きな作品だったら本当に申し訳ないです(；_；) (2018年11月21日 19時) (レス) id: c72a49e4f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_lovers98)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=...
作成日時：2018年5月25日 17時
