Dandelion (ページ7)

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今の状況を自覚した俺は大吾の言ってることが当たりそうな予感がして何も言い返せず大人しく住所をカーナビに打ち込み始めた。

その間に大吾は後部座席に手を伸ばして何か取っていたようで目的地設定を終えて大吾に目線をやれば手には緑色に可愛い子供向けキャラクターの柄が入ったブランケットを持っていて

西｢シート倒して目瞑ればきっとすぐに寝れる思うで？これつこうていいんで、着いたら起こします｣

俺は渡されたブランケットを開きながら少し眺め車を発進させた大吾の横顔と交互に見て

丈｢こういうの好きなん？｣

西｢ちゃうよ。かずくん用です｣

丈｢かずくん？｣

聞き返すと大吾はあっ！って顔したと思ったら少し困ったような顔で俺をチラ見するもんやから俺は思わず

丈｢なんやねん？｣

すると、大吾はより困った顔をしながら

西｢……はっすんの…別人格です。5歳の男の子で車に乗ってると寝ちゃうことがあるんで……｣

俺は一瞬息止まりかけたんちゃうかってくらい動揺したけどなんか言わな思うてすかさず

丈｢そうなんや…｣

と答えた。

そう……そうやった。
さっきまでの大橋はいつも見てる大橋となんも変わらんかったから…

唐突に現実を思い出して頭痛がする。

気まずい空気を感じたのと考えるのを放棄したくなった俺はシート倒してブランケット掛けて腕で目元を覆って目を瞑る。

すぐに寝れそうやなと思った。

丈｢なぁ……大吾｣

西｢はい？｣

正直しんどいわ頭痛はするわ眠いわという感じだったが俺はどうしてもこれだけは今のうちに聞いておきたくて

丈｢……お前はすぐに受け入れられたんか？｣

そう大吾に尋ねるとちょうど信号待ちになったのか車は停車してウィンカーのカチカチという音と先程よりだいぶ音量が絞られたラジオからゆったりした音楽が微かに聞こえる。

大吾はフゥーというため息して

西｢正直、今でも半分受け入れて、もう半分は受け入れきれてないのかもしれへん。でもな、丈くん。確かな事を一つだけ言うなら、どの人格も大橋和也がつくりだした逃げ道で大橋和也そのもんなんよ。やから、西畑は支えていきたい、はっすんの笑顔を守りたい。その気持ちが勝ちました。はっすんは、はっすんです。…これだけは忘れんとってください｣

そう最後の言葉を強調して言った大吾はまた車を走らせた。

俺は軽く目を開け腕の隙間からもうほとんど暗くなった空を見上げてもう一度目を閉じた。

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