Dandelion (ページ11)

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そんな二人とは対照的に丈くんは未だに病室の隅にいてこちらから目を逸らしてた。

そんな丈くんにおれは手招きしながら名前を呼ぶと丈くんはこちらを見て1歩踏み出してすぐに顔を曇らせて俯いて動きを止める。

ほんまに丈くんは顔によく出るなと思いつつもう一度呼びかける。

今度はちゃんと来てくれたけど俯いたままゆっくり近づいてきてベッド脇に立った丈くんの顔を覗き込もうとしたらそっぽを向かれてしまった。

そんな丈くんにおれも自然と視線が下がっていき、力強く握られたこぶしに気づく。

無意識に込められたであろう力で微かに震えているそのこぶしに手を伸ばして両手で包めばスっと力が抜けていったのを感じてゆっくりと開かせていく。

開いた手のひらは血が滲んでいて、こんな時に限って間が悪くいつもより伸びてる丈くんの爪先をなぞって手のひらが痛そうで思わずさすってしまう。

話し始めるきっかけが欲しかったけど、ただでさえ強がりな丈くんに痛くないか聞いたところで素直に言わないのは分かってるから

和｢丈くん、、普段は深爪なんに、、、珍しいな？どうしたん？｣

そう聞きながら丈くんの顔を見たらやっと目が合ってなんだか嬉しくて自然と笑顔になってしまった。

そんなおれに対して丈くんはすぐに目を逸らしちゃったけどさっきよりは表情が柔らかくなった気がする。

そして、おれは丈くんの手を軽く握りながら黙っていたことを謝って大ちゃんと正門を責めないで欲しいことや改めて自分の口から全て話すから待っといて欲しいことをまだ、しんどくていつもより回らん口で話した。

丈くんは握られてる手をじっと見ながらゆっくり喋るおれの話を最後まで聞いてくれて大きな深呼吸をした後、おれの手を両手で握り返しておれの顔を見ながらいつもより優しい声色で、だけど力強く

丈｢分かった｣

と答えてくれておれはその言葉にまたもや自然と笑みがこぼれる。

和｢ありがとぉ｣

って言った瞬間、安堵感からか手の力がフッと抜け丈くんも手を離したのでそのまま腕をおろした。

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