ボールに込めて。【柳田将洋】

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見たくなかった。

そんな姿。

嫌だ。

さくら「嘘…なんで」

さくらの声が聞こえた瞬間、私の涙はあふれる。

さっき溢れたばかりの涙はもうとどまることを知らない。

智樹「大丈夫？」

前田くんに背中をさすられる。

さくら「小泉さん、いつの間に？」

さくらはそう言い、小泉さんに歩み寄ろうとする。

そのさくらの腕を前田くんが掴んだ。

智樹「今は、ダメだよ。」

そういう。その言葉にさくらは肩をなでおろした。






さくら「柳田くんってセンスないよ」

帰りの電車で最初に言葉を切り出したのはさくらだった。

泣いたのも落ち着いた。

将洋くんからはメールは来なくて。

結構帰る方針になった。

さくら「あんな人選ぶなんて」

智樹「まぁまぁ」

さくら「だってさ」

さくらは私のために怒ってくれてる。

皆に気を使わせてる。

それも嫌でまた泣きそうになる。

ppppppppppppp

前田くんの携帯がうるさい。

智樹「あーマサから」

前田くんは嫌そうにメールを読む。

《 いま大学付近の駅ついたけど、落ち合う？ 》

その言葉に、さくらと前田くんは顔を見合わせた。


さくら「どうする？A」

さくらに聞かれて私は首を横にふる。

さくら「だよね。じゃあ、私はAと帰る。」

さくらはそう言い、私の頭を撫でてくれた。

智樹「うん、じゃあ、俺会ってくるわ。詳しいこと聞いとく」

聞きたくもないけど、聞きたいような。



そんなもどかしい気持ち。

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