驚きの再会 ページ18
大広間の座席に座って
小狐丸の髪をとかしていると、
黒鶴、と声をかけられた。
「黒鶴、何をしておるのだ？」
声の主はいつもの狩衣を着て、
怪訝そうに首をかしげている。
どことなく不満げな表情をしている
宗近に、ニコリと笑って手を振る。
「ああ、宗近。おはよう」
挨拶そっちのけで疑問をぶつけてくる
宗近に挨拶をすれば、数秒の沈黙のあとに
おはよう、と返される。
宗近の動きに合わせてぴょこぴょこ揺れる
頭の寝癖が面白くて、手を伸ばす。
「く、黒鶴？」
「宗近、今起きたばかりだろう。
頭に寝癖がついてるぜ？」
戸惑う宗近に寝癖の存在を教えてやれば、
恐る恐る頭に手をやる。
その手を誘導してやれば、本当だな、と
少し恥ずかしそうにはにかんだ。
「頭に水を被ってくるといい。
…ああでも、さすがに冷た過ぎるか。
あとで髪をといてやろうな」
手に持っていた櫛をくるくると指先で
遊ばせれば、髪をすいておったのか、と
納得する宗近。
そして髪をすいてもらっている相手を
見てお前か、と呆れたようなため息を吐く。
「……小狐丸」
「おや、三日月殿。ご無沙汰しております」
今初めて存在に気付いた、とでも言いたげな
小狐丸の態度に宗近は変わらんな、と
懐かしそうに微笑む。
そういえば、宗近も三条の刀だったか。
「貴方がここにおられるとは、
主様はよほど運がよい方と見受けられる。
三日月殿も、
主様の霊力に呼ばれたのですか？」
「小狐丸、まずはその言葉遣いをやめよ。
俺たちは同じ、三条派の刀であろう？」
宗近に口調を正せを指摘されると
小狐丸はきょとん、としてから
嬉しそうに微笑した。
「よもや、三日月殿から三条の刀と
認められる日が来ようとは。
…では、遠慮なく口調を崩させてもらうぞ」
「うむ、うむ。それでよい」
小狐丸よりも嬉しそうに微笑む宗近に、
彼も同派の刀を待っていたのだと分かった。
鯰尾も言っていたが、
三条派のこの二振りは顕現する可能性が
他の刀剣に比べて極めて低く、
求める審神者も数多いそうだ。
その刀剣を折ろうとしていた…
現に小狐丸を折った赤い審神者は、その
ありがたみが分からなかったんだろう。
昔話に花を咲かせている二振りを見て、
顕現できて本当に良かったと
温かい気持ちになる。
俺がこの本丸で幸せを見つけたように、
彼らにも幸せになってほしい。
…………俺の命が尽きるまでに、
どうにかして身内の刀剣を集めないと。
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あずきいろ
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西 - この方角に福があるはずです
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黒月(プロフ) - 更新お疲れ様でした。この作品が大好きで不定期的に何度も読み返しております！ただ久しぶりに見に来たらシリーズの一番最初の作品がパスワードがかかっていて閲覧出来ない状態で少し残念に思っております、再度開放は検討されておりますか？ (2019年8月7日 6時) (
レス) id: dafc515dbf (このIDを非表示/違反報告)
夜 - そうなんですか？かっこいい三日月もいいですけど、かわいい三日月もいいですよね！！これからも楽しみにしてます！ (2017年8月23日 15時) (レス) id: 913846638e (このIDを非表示/違反報告)
師走氷 - 夜さん» コメントありがとうございます！三日月さん可愛いですか…！？そのような感想をもらったのは初めてで、とても嬉しいです。 (2017年8月22日 20時) (レス) id: a30e075563 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - とても面白いです！！更新がんばってください。三日月可愛い……… (2017年8月22日 0時) (レス) id: 913846638e (このIDを非表示/違反報告)
師走氷 - プリン系男子@生ハム〜司祭よ永遠なれ〜さん» コメントありがとうございます！楽しんで読んでもらえているようで、嬉しく思います。更新の頻度はだいぶ落ちるかと思いますが、頑張りますね！ (2016年12月6日 17時) (レス) id: a30e075563 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：師走氷 | 作成日時：2016年12月4日 18時
