【刀剣乱舞】驚きの毎日を、弐【男主】

驚きの神経質青年(仮) ページ18

俺の一連の動作が終わると、

また俺がさっきいたところに刀が。

腕を引っ張っている人が誰かは知らんが、

二度も命を救われた。

「あ、ありがとう」

聞こえているのかは分からないが、

お礼を言う。

腕はいまだに掴まれているし、

近くにいるとは思うんだが。

俺の読みは正しかったのか、

肩をビクリと震わせたような反応が

空気の震動を伝わって感じられた。

そこに人がいる気配は感じられる。

けど、不思議なことに姿が見えない。

相手は幽霊か何かなんだろうか。

思案していたのがいけなかったのか、

はたまた声を出したのが駄目だったのか。

刀がもう一度、振りおろされた。

腕をものすごい力で引かれたが、

間に合わずに前髪が少し切れた。

刀を振りおろした水色の髪をした

青年は、ぶつぶつと何やら呟いている。

その目は虚ろで、安定のように

濁ってはいないものの、

瞳には何も写っていない。

「……ぅ………まも……ば……」

下を向いてぶつぶつ呟き、

刀を振りおろす姿は恐怖しか与えない。

鳴狐、この人絶対鬱よりたちが悪いぞ…!

「に、逃げよう! 今すぐに!」

自分でもひきつったと分かるくらいの

情けない悲鳴を出し、戦線離脱を宣言する。

こんなところで死ぬなんて冗談じゃない。

せめて前田と平野が来るまでは

生きておかないと、死んだあとが

色々と心配だ。主に三日月とか。

「ここまできてか?」

「いや、だって命あっての物種だ…

て、きみいつからいたんだ!?」

俺の宣言に情けない、と反応してみせたのは

いかにも神経質そうな青年だった。

俺の腕を掴んで一期一振の攻撃を

避けているところを見ると、

ずっと姿が見えなかった幽霊の正体だと

すぐに分かった。

今まで何で姿が見えなかったのか

疑問だが、すぐに答えは分かった。

彼は一期一振の攻撃が俺にしか

向いていないことを察知して、

俺の腕を持つことで身体を動かして、

攻撃を避けているのだ。

そのときの腕捌きが、早すぎる。

もはや残像すら見えない。

驚きを通り越してふざけてるだろ、これ。

俺を助けよう、救おうとしてくれる

その心意気は嬉しい。

だがきみが俺を強引に動かすことによって、

俺は今ものすごく気分が悪い…!!

うぷ、と口元を押さえると、

仕方ないなとでもいうように俺を

素早く担ぐ。

その担ぎ方が光忠と同じだった。

青年の肩が俺の腹に食い込んで

異が圧迫されたが、3日間何も

食べてないから吐くものがない。

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