第33話：こいつ一人別枠ボッチ ページ33
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｢ん〜っ、カダイフ生地のタルトは格別だね｣
｢好みじゃねぇ｣
Aの隣を死守する荼毘は興味無さげに呟く。
｢もう荼毘くん、こんなに美味しいナッツのキャラメリゼなんて滅多に食べられないんだよ？｣
彼女の正面に座したホークスは、砂糖で煮込まれクタクタになった林檎を虚ろな瞳をしながら咀嚼し、思考を巡らせていた。
｢ま、まぁまぁ！Aさん、落ち着いて……！｣
どうして、こんなことになってしまったんだろう。
計画はある程度、順調に進んでいるつもりでいたのに。
あの時、Aの背後に今日一番の大波が立ち上り、激しい轟音と共に彼へ妖しげな影を落とした風景を忘れられない。
｢___荼毘くん、いるんでしょ｣
｢遅せえよ、待ちくたびれたわ｣
岩陰からぬるりと飛び出してきた彼を見てAは満足気に笑い、2人の手を引きながら朝靄が晴れてきた街へ歩き出したのだった。
＊＊＊
｢敵連合の中枢に未成年の少女? それに皇族の血統ですって?｣
｢はい、死柄木や荼毘を含めた主要メンバーの心情に根深く居着いていると思われます｣
スケプティックの監視が手薄な時期を見計らい、簡潔にAについての説明を終えた。
｢犯罪歴は｣
｢恐らく有りませんが犯罪者組織を脱退後、義爛に斡旋され、若干の文書偽造などはあるかと｣
表情筋の死んだ冷たい目をしたヒーロー公安委員会の上層部は、矢継ぎ早にホークスへ質問を投げる。
｢それで、貴方はどうしたいのかしら？｣
｢……出来ることならば、救いたいです｣
彼の言葉を聞いた公安委員長は嘲笑いながら眉を下げ、
｢その子が敵連合や異能解放軍の士気や結束量を高める糧や根源であるかもしれないのに?｣
｢それは、はい、仰る通りで……｣
痛いところを的確に突いてくる彼女に、ホークスは口の端を噛みながら自分の行動を省みていた。
｢ねー、大丈夫〜？｣
｢……ッあぁ、はい、すんません｣
上の空のホークスに、Aはスプーンを咥えながら眼前で手を振りながら問いかける。
｢せっかく私とデートしてるのに、余所見しないでね？｣
その言葉に嫉妬を覚えた荼毘はマーキングの如くAの首筋に噛み付いた。
｢今はだ〜めっ｣
｢後でなら楽しませてくれるのかよ｣
｢荼毘くん、おくちチャック｣
純粋に食事を楽しみたい彼女は荼毘の口元に人差し指を当てるが、彼の不服そうな表情は最後まで変わらなかった。
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乃愛(プロフ) - ほんとうに、すきです... (2021年10月3日 1時) (
レス) @page28 id: 78a106acd8 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - もう好きです！あづまさんの小説！これからも読ませてください！ (2021年9月27日 6時) (レス) @page23 id: 30b611b787 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - すごい主人公の危うさが綺麗に表現されていて好きです！(語彙力なくてすみません) (2021年9月22日 18時) (レス) @page16 id: 7259fb1aa4 (このIDを非表示/違反報告)
御堂(プロフ) - 初めまして。こういった敵連合のお話すごく好きなので嬉しいです、前作から見ていて言葉の表現とかタイトルとか凄く綺麗で読みやすいな~と思いコメントさせて頂きました…！無理せず更新頑張ってください！楽しみに待っております◎ (2021年9月18日 13時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
落魄 - すみません、誤字がひどいですね。最後の分はあづまさんがいいならコメントしたいのですが大丈夫でしょうか？と打とうとしたものです。支離滅裂な文章ですみません。 (2021年9月18日 11時) (レス) id: 03af4fb6da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2021年9月18日 1時
