【文スト】彼に酔しれ堕ちていく【短編集】 (ページ35)

今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:381,876 hit

甘々マカロン【条野採菊】ページ35

花火様リクありがとうございます！

これ離しても良いんですかね、二人。

一応明日末広さんを書かせていただきます。

＿＿＿＿＿＿＿＿

白いティーカップに入った茶葉。

それに熱い湯をかけると湯気をたてては、カップを朱色の水で満たした。

少しばかり何時もより香り高い…だなんて。

彼も喜んでくれたら良いのだけれど。

『条野、紅茶が入りました。』

そう呼び掛けると、帽子を机に置いてソファに腰を下ろした。

その前にカップを置いて私も向かい側に腰を下ろす。

「良い香りです。ダージリンですか。」

『ええ、ストレートには香りが強いダージリンが良いんです。』

この一時が彼と私のリフレッシュ。

つい先程まで吸っていた生臭い臭いなんて忘れてしまえる。

彼はそんなリフレッシュで飲む紅茶が好きで、昔から私に淹れさせていた。

まァ、厭ではないのだけれど。

『お茶菓子、何が良いかしら？』

そう言いながら立ち上がると、条野は少し悩んだ。

私は棚の扉を開いて紅茶に合う菓子を探す。

「…そうですね……今は甘いものが良いです。」

『んー、あ、マカロンがあります。』

「それにしましょう。」

ピンク色の箱を取り出す。

一昨日知り合いから貰ったのだけど、真逆こんな機会で食べることになるとは思ってもなかった。

再びソファに腰を下ろしてマカロンを手に取り口に運ぶ。

甘いクッキーが口に広がり、甘さが少し控えめな生クリームは紅茶と良く合いそうだ。

『あら？食べないんですか？』

「…嗚呼、食べさせて頂けませんか？」

『…………は？』

思わず仕事用の声が出てしまった。

否でも突然何を云い出すのだ。

然し条野は何時もの微笑みを顔に張り付けた儘。

『し、仕方がないですね。今日だけですから。』

「ありがとうございます。」

何かに嵌められた気はするものの、手に黄緑のマカロンを取る。

口を開いた条野の口に半分入れる。

するとマカロンを持っていた指が条野の口に触れてしまった。

…躯が熱くなってきた。

「とても美味しいです。」

『そ、そう…………。』

「如何しました？心拍数が先程よりかなり多くなっていますよ。」

『気にしないでください！』

恥ずかしくなって条野の口の中に思わず残りのマカロンを突っ込んでしまった。

でも罪悪感はない。

「恥ずかしがらなくても…まあそんな貴女も好きですよ。」

『私はそんな貴方が嫌いです。』

ティーカップには私の紅くなった顔が映っていた。