【文スト】彼に酔しれ堕ちていく【短編集】 (ページ29)

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捕まって、【太宰治】【条野採菊】ページ29

あさぎﾊﾟｲｾﾝリクありがとうございます！()

久々ですね、すみません。

…条野さん確実に口調間違ってる。(初めて)

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嗚呼、空を自由に飛びたいな……。

「タケ○プター？」

『やめなさい。』

伏せ字でも引っ掛かるものは引っ掛かるんだよ。

そして何食わぬ顔で人の心を読んでるこの人怖い。

『……て云うか貴方は何で私の隣にいるんですか。貴方捕まってるんですよ？』

私の隣にベタベタとくっつきながら、離れないこの男。

先程同僚が捕まえてきた犯罪者である。

本当迷惑だから止めて欲しい。

「えぇ～、だって君可愛いんだもの！」

『公務執行妨害で再逮捕及び今すぐに書類送検しますよ。』

「こわっ。」

と云いつつも、彼の声音とこの様子じゃ余裕が消えていない。

何で脅したら効いてくれるんだか。

早く条野帰ってきてくれ……。

「あれ、今私以外の男の事考えてたでしょ。悪い子だなァ……。」

『仕事ですから。』

「冷たいなァ～………でもその表情、」

途端、男が後ろから抱き締めてきた。

ギュッと腕で固くホールドし、耳元に口を近づけ軽いキスを落とした。

ゾワッと、全身に鳥肌がたつ。

「すっごく崩したくなる……。」

制服の中に入ってくる大きな手。

擦れる包帯がくすぐったくて声が出そうだ。

『……っ、はな、し』

「……何してるんですか。」

目の前から聞こえてきた声。

パッチリと目を開けると、其処には明らか不機嫌な条野が立っていた。

「あ、巡回お疲れ様ァ。其の儘帰って良いよ。」

「誰が帰るものですか。彼女から離れなさい。
　彼女の心拍が異常に上がっている。怖がっています。」

後ろから冷たい空気が私を襲い、前からは恐ろしい空気が私を圧死させようとしている。

するとキチンｯと刃物の音耳元で響く。

「…残念、離さないよ。」

「…そうですか、ならば＿＿＿＿＿＿」

スッと条野が私の視界から消えた。

すると突然、真っ暗になった私の目の前。

すると唇にふわっと何かが中った感触。

…え、真逆、真逆の？

『じ、条野？あ、え？んぇ？』

「間抜けな声だこと…。彼女は私のモノです。
　犯罪者のその汚い手で触れられると困りますね……。」

静かな彼の言葉一つ一つに、憤怒が見え隠れしている。

私はとっさに手を条野に伸ばそうとするも、阻止する包帯の手。

「どっちが取っても、文句なしね？」

「私しか有り得ませんね。」

…待って結構揺らぐ。