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「……重てェ」
「出来る限り薄く削ったはずだったのだが……存外重いな」
「想定していたより視界が非常に狭くなりますね。ぶつかってしまわぬよう警戒しなければ」
「あのぅ、これ……白いワンピ一スにカボチャ頭、その上に白い帽子……って、何だか変じゃありません？」
空港の奥から現れたのは、大きなカボチャを被って仮装までした集団。一番背の低い173�僂涼砲鯑�れても平均身長199.5cmという彼らは、それぞれボールド、古墨、ジャン、エオスだった。
ボールドは彼が断固拒否したために仮装は無し、カボチャのみ。古墨は黒いマントを羽織った吸血鬼風の服を着てカボチャを被っている。ジャンはスレンダーマン風の黒い背広を着てカボチャを、そしてエオスは八尺様風の白いワンピ一スを着てカボチャを被り、その上に白い帽子を乗せていた。
「アイツら、こうやって見ると完全にバケモンだよな」
「今がハロウィンで、かつ俺達警備員に情報が行き渡ってなかったら今頃不審人物として取り押さえてるところだぞ」
異様な姿をした４人から人が離れていき、自然と道が開く。そして彼らが所定の位置に着いた途端、「彼らもお菓子(とスタンプ)を持っている」と気付いた子供たちが一斉に彼らの元へ突撃していった。子供達に群がられた４人はその数に若干気圧されつつも、膝を折り、腰を折って丁寧に対応していった。そしてオバケらしく脅かしたり、去っていく子供には手を振ったりとサービスも忘れない。時々子供達に交じって、外国人旅行客が写真を求めることもあった。背の高さや鮮やかなオレンジ色のカボチャ頭というのもあって、彼らの存在はあきつの中で最も目立っていた。
あきつのハロウィンは空港の営業が終了する深夜23時までである。
流石に日が傾き始めると子供達は徐々に姿を消し、各所に立つ彼らの元へスタンプを求めてやって来る人物はほとんど居なくなっていた。最後の利用客が空港を去ったところで、即時片付けが始まる。明日の営業開始時間までには空港内を元通りにしなければならない。
こうして、あきつのハロウィンは静かに終わりを迎えていった。
続く
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作者名：梟煌 | 作者ホームページ：Twitterには生息しています
作成日時：2020年10月16日 21時
