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 紙を切って作ったコウモリや可愛らしくデフォルメされた幽霊、ホウキに跨った魔女、歩く黒猫など、様々な飾りをあちこちに貼り付けていく。飾り付け担当となったヒコーキ達は多くの職員に紛れて、広い空港内と博物館内を彩っていた。
 高い場所には脚立に上って、時に背伸びしてコウモリを取り付ける。金色や銀色だけでなく、紫色やオレンジ色をしたモールを引っ掛けて、そこにまた量産されたコウモリをぺたり。オバケもぺたり。

 あきつでは毎年10月になると、施設内がハロウィンの飾りで一杯になる。そしてハロウィン当日の10月31日はその飾りがさらに増え、物凄くハロウィンを押してくる空港へと変貌するのだ。
 その飾りの多さは凄まじく、5年分のハロウィンを摂取出来るのではないかと言われるほど。この振り切れぶりは凄まじく、一部界隈では定番ネタとなっているという。あきつ空港の広報部長が思い切り過ぎた結果なのだが、現在では恒例行事として定着しつつある様子だった。

「こっちの飾りはもう全部飾ったぞー!」
「よーし、これなら明日に間に合いそうだな! カボチャ班、進捗どうだー?」

 装飾班の班長がくるりと後ろを向いて、ロビーに固まっているカボチャ班の方を見やる。するとちょうど、最後のカボチャがくり抜き終わったところだった。

「……お、終わったーーーー!!!!!」
「うわーーーーーーっ、疲れたあああああっ!!!!!」
「もう無理、限界……」
「な、何回か手に刺さるんじゃないかと思ったぁ……」

 彫刻刀をケースに戻した瞬間、どっと背後のソファーへ身体を預ける。数時間に及ぶ硬いカボチャとの格闘は、今ここで幕を下ろした。
 口々に「お疲れ様」等と互いに互いを労ったり、自販機で購入した飲み物を渡したりする彼らの元に、新しい濃厚なカボチャの香りが届く。その香りの元を辿った先は食堂だった。その場にいた一同が食堂の方へ目を向けると、奥から二式大艇と調理師の女性達が姿を現した。その両手に大きな鍋を持って。

「皆、お疲れ様! お腹空いたでしょう、かぼちゃスープ作ったよ!」
「そのまま食べても良し、パンに付けて食べても良しですよ」
「パンはお代わり自由だよ、さあどうぞ!!」

 橙色に輝く濃厚なスープを目にして、全員――特にカボチャ班――は目を強く輝かせた。

「いただきまーーーーす!!!!」

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作者名:梟煌 | 作者ホームページ:Twitterには生息しています  
作成日時:2020年10月16日 21時

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