へきせん1周年記念ハロウィンSS ページ17
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2020年10月30日、深夜。
あきつに駐機しているヒコーキ達は、ある任務に追われていた。
それは――。
「このカボチャクッッッソ硬ぇんだけど!? ナニコレ石!?」
「ガイド線書き終わったぞー!! はいコレ、よろしく!」
「衣装揃ったー? ……あー、それじゃああとマント2枚とワイシャツ2枚、それと包帯たくさん買ってきて!」
「そういやァこのカボチャの中身はどうすんだ? 食うのか?」
「いや、それは装飾用のカボチャだから食べられないはずだ。……食べようとしてるな?」
「えっ、このカボチャ食べられないのか……?」
「お前も食べようとするんじゃない……」
仮装用のカボチャを被れる状態にくり抜くという重大な任務である。
ハロウィンの装飾に使用されるカボチャはペポカボチャの一種で、その中でも「おもちゃかぼちゃ」という装飾用に品種改良されたものである。オレンジ色や黄色は鮮やかで見栄えが良く、皮が硬いため好きな形にくり抜いて使用することが出来る。
その硬さ故、特に力の強いヒコーキ達が彫刻担当として今、カボチャと格闘しているわけなのだが……その皮の硬さは伊達ではなく、彫刻刀で穴を削り出している状況だった。
「んぐ、ぐぎぎ……!」
「蒼穹、手が彫刻刀の前に出ている。それでは怪我をしてしまうぞ」
「あっ、古墨さん! そっか、ガッていっちゃった時危ないもんな……サンキュー!」
カボチャをくり抜いているのは主に輸送機や旅客機のメンバーだった。膝の上に大きなカボチャを抱えて、一所懸命に手を動かしている。戦闘機組はそのカボチャに目や鼻、ギザギザの口を描き、出来上がったものを順次彼らの元へ運んでいた。そして手が空いた者からくり抜き作業や買い出し作業のヘルプに付き、その他のヒコーキ達はあきつ空港と博物館の最終飾り付けに駆り出されていた。
「ちゃ、ちゃんと支えているんだぞ、零式殿!?」
「安心してくれはやて、俺はこの通りしっかり支えてるって。まあお前がバランスを崩さない限りは大丈夫だ」
「少々ぐらつく気もするのだが……頼んだぞ……!」
「気を付けろよ、シチーリ! あと、脚立は天板に立たないようにな!」
「大丈夫だよ、スツーカ! それにおれは曲技機だから、高いところなんてお茶の子さいさいってやつだ!」
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作者名:梟煌 | 作者ホームページ:Twitterには生息しています
作成日時:2020年10月16日 21時