検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:16,965 hit

ページ ページ2



 突進してきたプロペラ機は搭載された機銃から大量の弾丸を管制塔に浴びせ、窓ガラスを、内部の機材を、管制官達を吹き飛ばしていった。ある程度まで撃ち終わると上空へぐんと上昇し、目標を空港へと変える。
 その間にも渦の中からは黒い飛行機たちが姿を現し続け、搭載された機銃で、空対地ミサイルで、滑走路を、駐機している飛行機たちを破壊していた。
 現代では聞きなれない不気味なプロペラ音。頭上で旋回して戦力の補充を待つ初めのプロペラ機が発する不快な音に、泣き出す子供まで出始めた。両親は「大丈夫」「お母さん/お父さんが守ってあげるからね」などという、ありきたりで何の根拠もない言葉をかけて強く抱きしめることしか出来ない。
 自衛隊の到着がすぐに間に合うはずもなく、ただ破壊と死を待つのみの人間達。彼らではどうすることも出来なかった。
 そう、彼ら“人間では”。

「陽光、青天、古墨、出撃します!」

 そう叫んで空港内を駆け抜けていくのは、それぞれ白いツナギや青いパーカー、黒い着物に身を包んだ男たち。
 CAは彼らを止めるために叫んだが彼らの脚は速く、あっという間に銃撃や爆撃の未だ続く滑走路へと飛び出していった。地上を襲うプロペラ機たちは彼らに目標を変え、今までと同じように攻撃する。しかし彼らはその動きをまるで読み切っているかのように、降り注ぐ銃弾の間をするするとすり抜け、“噂”の立っている滑走路に到着した。

 そこで一度立ち止まり、ゆっくりとした深い深呼吸を2、3度繰り返す。後ろからは重苦しいプロペラ音と銃撃音、爆音が迫っている。
 しかしそんな中で、白いツナギの青年も、青いパーカーを着た高校生くらいの少年も、墨色の着物を着た男も、皆一様に腕を大きく広げて、滑走路を真っ直ぐ走り始めた。その速度はどんどん上昇していき、やがて飛行機が離陸する直前の速度にまで達する。
 ぐ、と足に力を込めて飛び上がると、彼らの身体は一回転してたちまち飛行機に変身した。



 彼らはれっきとした、正真正銘の飛行機である。しかしあきつ軍民飛行場にいる間は人の姿を取っている。
 これは不思議な飛行場で暮らし、戦い、空を取り戻さんと奮闘する飛行機達の物語。

企画概要【必読】→←世界観【必読】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , 碧落戦線 , へきせん , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

梟煌(プロフ) - アオ@さん» 追加作成の希望、ありがとうございます。承りました、CSの作成をお願いします。 (2021年11月29日 17時) (レス) id: 41d4a93ac5 (このIDを非表示/違反報告)
アオ@(プロフ) - 連絡遅れました。ヒコーキで一人追加希望します。【二十代/男?/現代機/偵察機/U-2】……で、よろしくお願い致します (2021年11月15日 10時) (レス) @page10 id: 0a089832a9 (このIDを非表示/違反報告)
梟煌(プロフ) - カラスさん» お疲れ様でした、確認させて頂きました。問題もありませんので、掲載させて頂きます。 (2021年10月21日 20時) (レス) id: 90a0a74eeb (このIDを非表示/違反報告)
カラス(プロフ) - すみません!使用させて頂いた画像メーカー様の名前の記載を忘れておりました…! 修正しました、申し訳ありません。 (2021年10月20日 23時) (レス) @page15 id: ee1ca5de66 (このIDを非表示/違反報告)
カラス(プロフ) - 夜分遅く失礼します。CS完成致しました。お時間ある時にご確認頂けると幸いです。【https://uranai.nosv.org/u.php/novel/RAVENWING/】 (2021年10月18日 23時) (レス) id: ee1ca5de66 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:梟煌 | 作者ホームページ:Twitterには生息しています  
作成日時:2020年10月16日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。