P.36 ページ36
A side
『ベポ…？』
夜中に目が覚め、窓から差し込む月明かりを頼りに長い廊下を歩き続ける。
廊下の奥に暗く大きな影をみつけ、それに向かって手を伸ばすと、その影は逃げる様に遠ざかってしまう。
『待ってよ…！ねぇ…ベポなんでしょう？』
呼びかけてもその影が立ち止まることはなく、闇に溶け込んだ。
『…！ペンギン…？シャチ…！あ、ちょっと待ってってば！』
どこからともなく現れたのはペンギンとシャチ。
しかし、声をかけるとその2人の姿も闇へと消えてしまった。
暗闇の中、私1人置いていかれてしまう。
『待って！お願い置いていかないで！！』
走り出そうとしたその瞬間、私の腕を誰かが掴んだ。
「こっち。皆はこっち。」
私の腰より低い背丈の女の子。
聞き覚えのあるその声でその幼い少女は私の腕を引っ張った。
『貴方は誰なの？この船に子供はいなかったはずよ…』
得体の知れないその子は子供とは到底思えない力で私の手を引いて前へと進む。
「こっち、こっち…」
少女は光の漏れる廊下の先へと私の手を引いた。
良かった…こっちは怖くない。
光が己の体を包み込むと、不安な気持ちが和らぐ様だった。
「こっち。こっち…ふふ、あはは…っ」
光の中で私の手を離した少女は楽しげに笑いながら先へと走る。
『ちょっと、あんまり船の中を走り回るとローに怒られるわよ…』
そんな言葉をかけたころには彼女の姿は既に見えなくなっていた。
子供の後を追い、長い光の道を出ればそこは甲板だった。
『…ぇ……』
あまりに酷い光景に掠れ声が漏れた。
全身が震え、立っていることすらままならず膝から地面へ崩れ落ちる。
嫌な水音に手を見れば、どロリとした真っ赤な液体が己の手を汚していた。
『…や……いや、嫌ぁぁあああ！！！』
目の前に横たわるのはこの船のクルー達。
ベポ、ペンギン、シャチ…
どうして皆動かないの！？
『な、んで…！起きて、ベポ！起きてってばぁ！！』
ロー「何で、じゃねぇだろ。全部てめぇがやった事だ。」
『私が…？』
その船の上の光景はよく知ってる。
今まで何度も見た光景。
現れたローを先頭に、倒れていた彼らが次々と起き上がり真っ黒な瞳をこちらへ向ける。
ベポ「酷いよA…そんなに海賊が憎いならもう死んで楽になりなよ。」
その瞬間、ベポの拳に握られたナイフは私の体に突き立てられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 741人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おだんご(プロフ) - 瑠李さん» 気に入って頂けて嬉しいです！！最近更新出来てなくて申し訳ないですがこれからも楽しんでくれると嬉しいです💗 (2022年9月20日 12時) (
レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - 初コメ失礼します。何度の読み返すぐらい大好きな作品です( ◜ᴗ◝ )ﾆｺ更新楽しみに待っています⸜( •⌄• )⸝頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧応援してます。 (2022年9月18日 14時) (レス) id: 9824e2f221 (このIDを非表示/違反報告)
おだんご(プロフ) - 咲来(名前)さん» コメントありがとうございます！すっごく嬉しいです頑張ります🥹 (2022年8月31日 12時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
咲来(名前)(プロフ) - すごく大好きです！これからも更新頑張ってください❗️ (2022年8月30日 21時) (レス) id: ff57aa709d (このIDを非表示/違反報告)
おだんご(プロフ) - くいっくさん» ありがとうございます！その言葉凄く励みになります😭 (2022年8月7日 13時) (レス) id: 2253c94c55 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おだんご | 作成日時：2022年8月4日 19時
