高嶺の花子と大怪盗２【黒羽快斗】 (ページ10)

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60, あゴッッッ！！！！①-2 ページ10

ガラガラーっとベランダのドアを開けて、下を見下ろす。

『わぁ〜リムジン……』

その黒いリムジンの窓が開き、は〜あい♡っと園子が手を振る。

〝「どうせ迎えに行くんだから、キッド様の勇姿でも語りながら、ディナーでもどうかって思ったんだけど、」〟

園子がバツが悪そうに言った。

『何それ最高』

〝「でしょ！あんた今日用事あるなら、今度お泊まり会するわよ！蘭も呼んでキッド様について語り合うわよ！！！」〟

ウキウキで話す園子が可愛い。

蘭はキッドにあまり興味無いんじゃないかなーと思うが、2人より3人の方が絶対楽しいから、言わないでおく。

〝「鈴木財閥秘蔵の、超高性能カメラで撮ったキッド様！ほくろまで見えるんだから！ってあんた、なんでライダースーツ着てんのよ」〟

『え』

うわ、やべぇ。

はるか下にいる園子と話すために、私はベランダから身を乗り出していた。

〝「何よ、キッド様よりもバイクの方が大事って言うの？」〟

違うんだぜ園子ちゃん、今日はキッドのためにバイクを走らせるんだぜ。と言いたいが我慢。

『えっと、明日から土日だしツーリングでもどうかって話してて……』

本当のことは言えないので、ごめんね園子！！！と心の中で謝って嘘をつく。

〝「ふーんまたあのカイトくん？」〟

『うん……』

〝「ったく、旦那気取りの泥棒め。私のAを独り占めして。」〟

『か、快斗は旦那じゃないよ！！！！』

〝「はいはい、そいつにも言っときなさい？“早く園子様に挨拶に来い”って。保護者に挨拶に来るのが筋ってもんよ」〟

私の保護者は園子じゃないよ……

鈴浦拓真だよ……

〝「ま、そういうことなら仕方ないわね。思う存分イチャイチャしてきなさい。」〟

園子がニシシと笑い、手を振って電話を切った。

私も手を振り返すと、リムジンが去っていく。